研究分担者 |
山口 峰生 瀬戸内海区水産研究所, 赤潮環境部, 赤潮生物研究室長
三輪 泰彦 福山大学, 工学部, 助教授 (00219833)
満谷 淳 福山大学, 工学部, 助教授 (80309632)
北口 博隆 福山大学, 工学部, 助手 (10320037)
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研究概要 |
平成13年度は,本課題の成果として平成11年度に分離した殺藻細菌EHK-1株によるH.circularisquamaの殺藻機構の解析,および,殺藻細菌による赤潮防除の実用化に向けての基礎となる包括固定化法の検討を行った。得られた成果の概要を以下に示す。 1. H.circularisquamaを殺藻する物質の由来 前年度,H.circularisquamaとEHK-1株の二者培養ろ液中に殺藻物質が存在することを明らかにしたが,その由来がEHK1株であることを確認した。EHK-1株の単者培養液を,二者培養液から殺藻物質を分離した手順で分画したところ,二者培養液において殺藻活性が存在した同じ画分に活性が存在した。 2. 細菌による殺藻機構の違いについて 1.の結果より,EHK-1株は,自身の生産する低分子の殺藻物質によってH.circularisquamaを殺藻する機構を持つと考えられるが,珪藻殺藻細菌Pseudoalteromonas sp. A25株は,プロテアーゼ様の物質で珪藻の自殺物質を誘導する殺藻機構を持つことが示唆された。これら殺藻機構の違いは,特定の有害赤潮藻を選択的に殺滅する際に有効に利用できると考えられる。 3. 殺藻細菌の包括固定化法による赤潮防除法の開発の試み 殺藻細菌を現場に適用する際に,細菌の拡散が問題となるが,殺藻細菌を包括固定化することで効果的な利用が可能になると考えられる。本年度は,殺藻細菌を包括固定化する担体について検討し,その結果分子量1,000のポリエチレングリコールを主成分とするゲルが適していることがわかった。 来年度は、これらの成果をもとに,EHK-1株の安全性を確認するとともに,殺藻細菌の包括固定化による,H.circularisquama赤潮の効率的阻止法の基礎を確立する
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