研究課題/領域番号 |
11460092
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研究機関 | 福山大学 |
研究代表者 |
石田 祐三郎 福山大学, 生命工学部, 教授 (20026488)
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研究分担者 |
山口 峰生 瀬戸内海区水産研究所, 赤潮環境部, 赤潮生物研究室長
三輪 泰彦 福山大学, 生命工学部, 助教授 (00219833)
満谷 淳 福山大学, 生命工学部, 助教授 (80309632)
北口 博隆 福山大学, 生命工学部, 助手 (10320037)
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キーワード | 赤潮 / ヘテロカプサ / 殺藻細菌 / 包括固定化 / バイオレメディエーション |
研究概要 |
平成14年度は本課題の遂行過程で分離に成功したヘテロカプサ殺藻細菌EHK-1株を用いて高分子ゲルに細菌を包埋する手法である包括固定化法を応用した赤潮防除法の実用化への基礎を確立する研究を推進した。得られた成果を以下に示す。 包括固定化に用いる担体材料の検討 細菌を固定化する高分子材料として、ポリエチレングリコール・ポリビニルアルコール・アルギン酸ナトリウム・アガロースL・寒天を用いて担体を作成した。それぞれの担体のヘテロカプサに対する殺藻効果を検討したところ、寒天を用いた場合に最も安定した効果が確認された。また、寒天は天然高分子であり、環境中で用いる場合の安全性に問題はないと考えられることから、殺藻細菌の包括固定化には寒天を担体材料とすることが適当であると考えられた。 包括固定化殺藻細菌の保存性の検討 殺藻細菌を包括固定化し、15℃滅菌海水中で保存した後にヘテロカプサに対する殺藻効果を確認したところ、2週間保存した後に殺藻効果がみられ、細菌の生存も確認された。このことから,包括固定化殺藻細菌は,現場において数週間効果が持続すると考えられ,実用化に適した手法であると考えられた。 マイクロコズム系における包括固定化殺藻細菌の殺藻効果 天然海水を孔径0.8μmのフィルターでろ過し、自然の細菌群集を含む海水を調製した。これに赤潮原因藻を接種し、さらに包括固定化殺藻細菌を添加して殺藻効果を検討した。その結果、自然の細菌群集が存在する条件でも包括固定化細菌が効果を発揮することが明らかとなった。 これらの知見より、寒天ゲルに殺藻細菌EHK-1株を固定化した担体を赤潮発生海域あるいは発生が予想される海域に投入することにより、赤潮を消滅あるいは赤潮の発生を抑制することが可能であると考えられる。
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