1.マサバおよびタイセイヨウマサバの筋肉からパルブアルブミンをゲルろ過、逆相HPLCにより精製し、精製標品がパルブアルブミンであることを部分アミノ酸配列分析で証明した。両魚種からの精製パルブアルブミンは、ELISAにより多くの魚類アレルギー患者の血清と反応すること、阻害ELISAによりお互いに抗原交差性を示すことが確認された。 2.マサバ筋肉から常法によりcDNAライブラリーを構築し、カエルパルブアルブミンに対するモノクローナル抗体を用いてマサバパルブアルブミンのcDNAをクローニングした。クローニングしたcDNAの塩基配列を分析し、マサバパルブアルブミンは108残基のアミノ酸から成ること、アミノ酸配列の特徴からβタイプであることが判明した。現在、アミノ酸配列に基づいて全長をカバーするペプチドを合成し、マサバパルブアルブミンのIgE結合エピトープを解析中である。 3.食用ガエル(ウシガエル)からパルブアルブミンを単離し、魚類アレルギー患者の血清と反応すること、マサバおよびメバチのパルブアルブミンと抗原交差性があることを示した。この結果は、カエルによる食物アレルギーの原因アレルゲンとしてパルブアルブミンが重要であることを意味し、魚類アレルギー患者はカエルの摂取にも気をつける必要があると考えられた。 4.市販の魚肉エキスは、ELISA実験の結果から、パルブアルブミンを認識する魚類アレルギー患者にとっては有望な低アレルゲン食品であったが、コラーゲンを認識する魚類アレルギー患者にとっては問題があることを認めた。しかし、カツオ筋肉を用いて行ったモデル実験により、魚肉エキスの製造過程で適切な酵素処理を施せばコラーゲンのアレルゲン性を低減化できることを示した。
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