1.魚類アレルゲンとして、これまでによく知られているパルブアルブミンとは異なる高分子アレルゲンを見いだし、メバチから精製した高分子アレルゲンの諸性状からコラーゲンであることを証明した。阻害ELISAにより、各種魚類コラーゲンはお互いに抗原交差性を示すことが判明したが、魚類コラーゲンとその他の動物コラーゲンとの間には交差性は認められなかった。 2.20人の魚類アレルギー患者の血清を用いたELISAにより、従来の報告通りパルブアルブミンが主要アレルゲンであったが、コラーゲンをアレルゲンとする患者が1/3程度いることが明らかになった。さらに、5魚種からのパルブアルブミンおよびコラーゲンのIgE反応性は同程度であること、両成分の魚肉中の含量も同レベルであったので、コラーゲンはパルブアルブミンと並んで重要な魚類アレルゲンであると結論した。 3.パルブアルブミンとコラーゲンの両成分をイムノブロットで同時に検出するための魚肉からの抽出方法を5魚種で検討し、いずれの魚種でも80℃、20minの加熱抽出が最適であることを明らかにした。本抽出方法は、魚類アレルギーの診断に用いられるRAST用抗原の調製にも適用可能である。 4.パルブアルブミンのIgEエピトープ解析に向けた準備段階として、マサバパルブアルブミンをコードするcDNAをクローニングし全アミノ酸配列を明らかにした。 5.魚肉練り製品は、コラーゲンを認識する患者にとっては問題が残されたが、すり身製造過程の水さらし操作によりパルブアルブミンはほぼ完全に除去できることを明らかにし、パルブアルブミンを認識する患者にとっては有望な低アレルゲン食品であることを示唆した。一方、魚肉エキスは、酵素処理の条件によっては両アレルゲンの低減化が可能であることを示した。
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