世界の食品産業の安全性確保に関する国際比較研究

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11460104
• 研究機関: 九州大学
• 研究代表者: 甲斐 諭 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (70038313)
• 研究分担者: 木立 真直 中央大学, 商学部, 教授 (10224982) ; 四方 康行 麻布大学, 獣医学部, 助教授 (20178859) ; 中原 准一 酪農学園大学, 環境システム学部, 教授 (60048121) ; 早川 治 日本大学, 生物資源科学部, 助教授 (00096885) ; 石田 正昭 三重大学, 生物資源学部, 教授 (80144228)
• キーワード: 食品の安全性 / フードシステム / 安全性確保 / 衛生 / HACCP / 品質保証 / キャトル・ケア / トレーサビリティ

研究概要

近年、世界の各地で食品の安全性が問題になっている。欧州では狂牛病、日本をはじめとするアジアでは、口蹄疫が、食肉の消費量を減少させている。我が国では、昨年、大手乳業メーカーの工場において黄色ブドウ球菌による汚染が発生し、大きな社会問題になり、牛乳の消費を減退させた。
本年度は特に研究代表者がドイツ・ベルリン市の食品卸売市場を調査し、食肉・冷凍魚・青果物の卸売市場における施設改善による食品の安全性の確保が、量販店による卸売市場離れを阻止し、卸売市場活性化の主因になっていることを検証した。
研究メンバーの四方がドイツ・バイエルン州について研究した。同州では自州の農産物消費を促進させるためにQHBマークを普及させ、由来の明確な食肉を消費者に提供し、食肉の信頼獲得と消費の拡大を目指していることを明らかにした。このQHBプログラムは、単にバイエルン産であるのみを強調しているのではなく、豚の飼養が動物保護法にかなっているのかどうか、また、医薬品や飼料が適正であるのかどうかなど、豚の安全性や健康、品質管理に関して消費者が納得のいくプログラムになっていることも調査した。
木立は、イギリスの食品流通について研究し、同国では1990年以降、食品の安全性に関する規制の強化により、温度管理やトレーサビリティの確保が重要な課題として取り組まれえていることを解明した。
豪州における牛肉生産の衛生問題、EUにおける狂牛病問題をメーンバーが分担して研究を推進している。

研究成果

• [文献書誌] 中原准一: "デンマーク EU農業環境規制との関連で"酪農ジャーナル臨時増刊号. 198-215 (2000)
• [文献書誌] 四方康行: "バイエルン州における豚の品質管理と指導組織"畜産コンサルタント. 36巻4号. 54-58 (2000)
• [文献書誌] 四方康行: "中山間地域における短角牛飼養"農業経営研究. 38巻1号. 111-116 (2000)
• [文献書誌] 四方康行: "ドイツの畜産会計システム"畜産コンサルタント. 36巻8号. 58-63 (2000)
• [文献書誌] 四方康行: "最近の牛肉の消費構造とその要因分析"肉牛ジャーナル. 14巻1号. 29-38 (2001)
• [文献書誌] 四方康行: "食肉消費の地域性と世代間相違"農林業問題研究. 36巻4号(印刷中). (2001)
• [文献書誌] 木立真直: "グローバル時代のマーケティング-イギリスの食品流通からの示唆-"農業と経済. 1月号. 51-59 (2001)
• [文献書誌] 早川治: "PHF、GMF飼料と飼料産業"畜産の研究. 55巻1号. 196-200 (2001)
• [文献書誌] 甲斐諭(金中起と共著): "韓国青果物卸売市場の仲卸段階における高利潤率と競争制約的要因"農業経済論集. 51巻2号. 1-12 (2000)
• [文献書誌] 甲斐諭(豊智行と共著): "豪州牛肉産業における安全性確保制度の分析"農業経済論集. 51巻2号. 13-22 (2000)
• [文献書誌] 甲斐諭(金中起と共著): "韓国の青果物流通における産地収集商存立の現状と政策対応の課題"九大農学芸誌. 55巻1号. 83-92 (2000)
• [文献書誌] 甲斐諭: "企業的農業経営における収益性追求と環境保全との矛盾及びその統合"農業経済論集. 55巻1号. 1-12 (2000)
• [文献書誌] 早川治: "畜産の構造変化と飼料市場"筑波書房(印刷中). (2001)