研究概要 |
平成11年度は,研究代表者と3名の分担者が,担当地域に特徴的な粘土試料の調整を行ないながら基本的な物性値の把握に努めた。 つまり研究代表者の藤井克己(岩手大学)は,八郎潟干拓地で代表的な膨潤性粘土鉱物モンモリロナイトを対象試料に選定し,そのサスペンジョン・ペースト状態における物性変化を粘性率測定を通じて把握した。また凍結乾燥装置を導入し,水分の多い状態での粘土構造の定量的把握を試みた。一方,緩やかに水分が減少する際の水分ポテンシャル変化をデータロガーにより長期間計測した。特に風乾状態での測定には新たに購入したサイクロメータを用いた。これらの計測の自動化に研究分担者古賀潔(岩手大学)の助言を仰いだ。 一方,研究分担者の足立泰久(筑波大学)は,淡水環境にある粘土粒子のイオン濃度変化による凝集沈降の様子を,顕微鏡写真撮影装置により観察し,その沈降速度を画像データ処理により解析した。これに加えて,研究分担者の取出伸夫(佐賀大学)は,有明海堆積粘土をサンプリングし,海水環境下におかれた粘土の透水性と塩分濃度の関係について実験的な検討を展開した。 平成12年度は,3地区で異なる粘土試料を互いに共有のものとして,実験データの共有化と知識の総合化を図る予定である。特に,乾燥による体積の減少,亀裂の発生という長期的な時間変化を伴う問題に対して実験的検討を加える。
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