平成13年度、研究代表者の藤井克己(岩手大学)は、八郎潟干拓地で代表的な膨潤性粘土モンモリロナイトを対象試料に選定し、そのサスペンション・ペースト状態における物性変化を、粘性率と液性限界の測定を通じて把握した。特にこれらの液性限界状態に対応する固相率を、実験的に導出し、これに及ぼす間隙溶液の種類と塩濃度の影響を定量的に明らかにした。加えて、非膨潤性で安定な粘土鉱物カオリナイトについても、比較のための実験を行ない、その粘性率の時間変化を粘土粒子の構造変化との関わりで考察した。 一方、研究分担者の足立泰久(筑波大学)は、引き続き、淡水環境にある粘土粒子のイオン濃度変化による凝集沈降の様子を、顕微鏡写真撮影装置により観察し、その沈降速度を画像データ処理により解析した。加えて、希薄なモンモリロナイトのサスペンションにおいて、甚大な粘性率と降伏値が発現する機構について、粒子間の相互作用の点から理論的検討を加えた。 平成13年度は、本研究計画の最終年度にあたるため、在外研究中の取出伸夫(佐賀大学)の研究成果を含めて総合化を図るとともに、乾燥・収縮挙動の自然堆積粘土の理工学的性質への影響を、粘土粒子の構造変化という観点から検討を加え、冊子体としての報告書にまとめた。
|