研究概要 |
本年度は平成11年度,平成12年度の成果を踏まえ,以下の通りの実施計画に従って研究を行うとともに,この成果を適用できる現地の実例を分析し,灌漑と土壌管理のあり方を考寮した. 1.初期含水比,地表面を開放するか閉鎖するかなど凍結時の条件を種々設定して凍結実験を行った.続いて凍結実験後の状態を初期条件として,融解に伴う水分・塩分移動を測定した.凍結深そのものは初期含水比に影響されないが,水分と塩分移動量は初期含水比および表面の開放・閉鎖状態に大きく依存し,初期含水比が高いと多量の水分と塩分が凍結層に移動した.融解後表面開放状態では表層に塩分の集積が発生し,これは初期水分量が高い場合に著しかった. 2.凍結状態での土壌に遠心力場を作用させ,このときの水分排出量および試料中水分分布から不飽和透水係数を測定する方法を開発した.標準砂,壌土(SCL, CL),粘性土(LiC)にこの方法を適用して凍土の不飽和透水係数を測定したところ,10^<-9>cm/sから10^<-8>cm/sの値が得られた. 3.地表面に正弦波の温度変化を与えた時の地中温度変化の振幅および位相のずれから凍土の平均的熱伝導率を測定する方法を適用し,熱伝導率を測定した. 4.現地で測定した地温変化に,上述の周期的温度変化による平均熱伝導率測定法を適用し,現地の平均的熱伝導率を推定した. 5.凍結中の地温と士壌誘電率測定し,地温か推定される土壌水分ポテンシャルと未凍結水分量の関係を検討した. 6.寒冷乾燥地における凍結融解に伴う農地への塩分集積の事例として,中国,内蒙古,河套灌漑区の事例を整理分析し,フィールドにおける塩分の組成と量およびその動態を検討した.
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