研究課題/領域番号 |
11460119
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
井上 英二 九州大学, 農学研究院, 助教授 (00184739)
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研究分担者 |
稲葉 繁樹 佐賀大学, 農学部, 助手 (50223227)
宮本 眞吾 日本大学, 生物資源科学部, 助教授 (20174211)
橋口 公一 九州大学, 農学研究院, 教授 (10038250)
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キーワード | 農用ゴム履帯走行部 / 動ばね定数 / 粘性減衰係数 / パラメータ同定 / ガウス・ニュートン法 / レーベンベルグ・マルカート法 / 走行抵抗 / 力学モデル |
研究概要 |
本年度は最終年度としてまず、農用ゴム履帯走行部の振動特性を表現しうる従来までの動的モデルならびに運動方程式の解についての精度を定量的に検討した。最初に、初年度の実測値より同定して得られたkならびにcにより各転輪直下の動荷重を算定し、実測値と比較した結果、第1転輪及び第4転輪直下に作用する実測値の動荷重はゴム履帯の巻き掛けの影響により周期的に変動しており、モデルによる算定結果よりも増加傾向にあることが明らかになった。 一方、第2、第3転輪においては巻掛けの影響が無いためか、定量的に一致する傾向が見られた。そこで、モデルの妥当性とこれまでの計算精度から、パラメータを同定する実測データを第2、第3転輪の動荷重値として再度計算を行った結果、同定後のピッチング角加速度値及び上下加速度値共に評価値は上昇した。 しかしながら、上記同定手法に用いたガウス・ニュートン法は転輪動荷重からの同定において、初期誤差が大きく、同定対象のパラメータの数が多い場合、解が収束せず発散する場合が多く、本研究の同定問題に使用するツールとしては限界があることが指摘された。そこで、新たな同定法である、レーベンベルグ・マルカートを本研究に適用することを試みた。マルカート法は最急降下法とガウス・ニュートン法の折衷的同定法であり、特に、初期誤差に対する収束性が良好であることが文献等で紹介されている。そこで、従来行ってきたガウス・ニュートン法と比較する目的で、同条件でマルカート法により同定した結果、同定すべきk、cに関する10個のフーリエ級数パラメータは全て同時に収束可能となって解が得られた。また、初期誤差による解の発散も認められず良好であった。 次に、走行抵抗に関して昨年までの基礎実験で得られた基礎資料を基に、実走行試験データと照査により、走行抵抗を理論的に予測しうる力学モデルを提案することが可能となった。 以上の本研究成果を踏まえ、ゴム履帯走行部が発生する振動、走行抵抗を設計段階で理論的にしかも定量的に予測しうる設計理論が構築しえたと判断する。
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