研究概要 |
本研究は分散的に運用される複数個の植物工場をネットワークで連結し、効果的且つ知能的な植物工場の実現をめざすが、本年度の研究成果として以下の2項目について報告する。 1:ネットワークを利用した植物診断のための画像圧縮方法の検討 ネットワークを利用した植物病理診断のための画像の圧縮方法の検討を行い,HSI法による背景画像の除去とTIFFファイル形式とを組み合せた画像圧縮は,必要な植物体の情報を全く損なわずに高圧縮を実現するのに有効な手法であることがわかった。今回得られた画像について,通信時間を計算するとともに,通信手段の一つであるISDN64回線を使用して通信試験を行ったところ,原画像および背景除去画像の計算上の通信時間はそれぞれ112sec,52secであり,実際の通信時間はそれぞれ170sec,79secとなり背景除去により通信時間を50%程度に削減することができ,ネットワーク負荷の削減,通信コストの大幅な低減が図れることが明らかになった。 2:人工知能を活用し制御対象のシステム同定等を解明する研究 果実の形の評価は、人間によって行われるので、あいまいである。本研究は、カオス概念とニューラルネットワークを利用して、果形を定量的に評価する方法を検討した。まず、2次元の果形を、果形の中心と輪郭上の各座標と距離を順次求めることにより、時系列のような1次元データに変換した。次に、このデータのアトラクターを描くとともにフラクタル次元を計算しデータの不規則性を計算(定量化)した。また、ニューラルネットワークを用いた同定により同定精度も求めた。求められた3つの量(アトラクターのかたち、フラクタル次元、同定精度)は、人間が果形を評価する結果と密接に関連しており、これらの値から複雑な果形を定量的に評価できた。
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