研究概要 |
本研究は分散的に運用される複数個の植物工場(生産と貯蔵を包含する)をネットワークで連結し、効果的且つ知能的な植物工場の実現をめざすが、本年度の研究成果として以下の3項目について報告する。 1.以前に報告した収穫果実のレーザ計測による3次元モデルの作成は、処理データが膨大であり、リアルタイムの処理に問題があったので、今回はステレオ画像法による検討を行った。2台のカメラで植物体を左右2方向から撮影し、それぞれの画像について細線化による芯線と折れ線近時による輪郭線を植物体の2次元形状の特徴とし抽出し、それらから3次元モデルを求めた。「成果論文-1」。 2.インターネット時代に対処する画像データの遠隔診断に関する各種画像圧縮法を前年に続き(前年に詳しく説明)、各種検討を行い更に効果的な成果を得た「成果論文-2」。 3.品質保持を目的として、温度による貯蔵果実(トマト)の呼吸抑制を試みた。呼吸は温度の上昇に伴って増加したが、35℃以上では逆に低下する傾向を示した。次に、知能的方法論(ニューラルネットワークと遺伝的アルゴリズム)を用いて、果実の状態モデルをつくり、そのシミュレーションから呼吸を最少にする8段階の温度操作パターンを求めた。最低温度を5℃(5【less than or equal】T(k)【less than or equal】40)にすると、最適値は{T(k)}={5,5,5,5,5,5,5,5℃}となり最低温度のみの値を取った。しかし、最低温度を上げて15℃(15【less than or equal】T(k)【less than or equal】40)にすると、最適値は{T(k)}={40,40,15,15,15,15,15,15℃}となり、最初は高温の40℃、その後は最低温度の15℃を選んだ。これによる呼吸は、常に15℃の場合よりは顕著に低下した。果実の品質保持のためには、低温一定が必ずしも最良ではなく、果実の生理状態に基づいて制御することが重要とわかった「成果論文-3」。
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