研究概要 |
ペレニアルライグラスとトールフェスクと寒地型イネ科牧草であり,主として北海道と東北地方の牧草地に栽培されている.そこで,平成12年度までに北海道と東北の全域からエンドファイトに感染した牧草の収集を行うこととした.平成11年度は,北海道では帯広,千歳,旭川,月形等10カ所,東北では岩手県の雫石,宮古,花巻,秋田県の能代,大曲,青森県の七戸,深浦等16カ所からエンドファイト感染の可能性のある牧草の収集を行った.草種別の収集点数はペレニアルライグラスが20点,トールフェスクが19点であった.収集した個体は岩手大学に集め,エンドファイト感染の有無を調査した.ペレニアルライグラスでは,北海道のモエレ沼,知来乙,二風谷,青森県の深浦,平内,岩手県の滝沢の合計6カ所で,トールフェスクでは北海道の天塩,岩手県の小岩井,秋田県の昭和,青森県の深浦の合計4カ所からの収集個体にエンドファイトの感染を認めた.感染を確認したこれらの個体は岩手大学の構内圃場に保存し,植物体の試料からサンプリングしてアルカロイドの分析を行った.その結果,深浦から収集したペレニアルライグラスを除く全ての個体でアルカロイドが検出された.ペレニアルライグラスではErgovaline,ErgovalininとLolitremBのいずれの成分も,トールフェスクではErgovalineとErgovalininが検出された.最も高いLolitremB含有率が検出されたのはモエレ沼のペレニアルライグラス,最も高いErgovalineとErgovalininが検出されたのは深浦のトールフェスクであった.これらアルカロイドが検出された牧草個体は農林水産省草地試験場に集め,エンドファイト菌を分離・同定中である.
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