研究概要 |
骨格筋細胞の増殖・分化・発達の機構とその調節を遺伝子レベルから解明して、その理論と技術を食肉生産の向上に応用するための研究を進めた。 1 鶏筋芽細胞の初代培養系におけるMyo D family遺伝子群の発現様式 鶏筋芽細胞Cell lineにおける遺伝子発現を検討するための前段階として、初代培養筋芽における分化制御因子(Myo D,myogenin)のmRNA発現を検討した。培養筋細胞のtotal mRNAを抽出し、first strand cDNAを作成した。鶏骨格筋のMyoDおよびmyogeninのDNA配列を基に23merのオリゴDNAプライマーを合成してPCRを行い、電気泳動での発現バンドをNIHimageで解析し、mRNA発現量を求めた。Myo D mRNA発現は筋細胞培養の12時間後まで上昇して最高値に達し、その後低下した。myogenin発現量は24時間まで上昇して低下するパターンを示した。 2 鶏骨格筋筋芽細胞Cell lineの確立 鶏筋原細胞集団から筋芽細胞をカバーガラス破砕法によりクローニングすることを試みた。その結果、正常に生育するクローンが得られなかったので、コロニー形成法により筋芽細胞をクローニングすることを試みたところ、筋芽細胞と思われるクローンを得ることに成功した。しかし、2〜3回の継代で細胞の増殖が停止したので、筋細胞の増殖能を高めるために筋細胞の癌化を試みた。リン酸カルシウム共沈法および動物細胞遺伝子導入用試薬によるSV40T抗原の遺伝子導入を行った。導入後の細胞を抗生物質添加培地で培養し、癌化細胞の選択および細胞のクローン化を試みた。得られたクローンを継代し、細胞数を増やすことを試みたが、4〜5代で増殖が停止した。さらに増殖能の高い細胞を得るための検討を進めている。
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