研究概要 |
BoLAクラスII遺伝子のタイピング法の開発 正確迅速に世界中のウシMHC(BoLA)-DRB3エクソン2(BoLA-DRB3.2)の塩基配列を決定するためのPCR-Seqnence-Based Typing(PCR-SBT)法を考案した。BoLA-DRB3.2の塩基配列97種類より予測されるアミノ酸配列に基づいて対立遺伝子を8群に分類し、それそれの第一超可変部位のアミノ酸配列をコードする塩基と相補鎖を作る8種類(SPl-8)と、全ての対立遺伝子を増幅できるDRB3ALLを設計した。最初に、共通なプライマー(ERB3とHLO31)を用いてfirst PCRを、次に、その産物をテンペレートとして上述の9種類のプライマーを用いたsecond PCRを行ない、そのPCR産物の塩基配列をダイレクトシークエンス法により決定した。黒毛和腫200頭、日本単角200頭、ホルスタイン200頭およびジャージー20頭タイピングを行い、その品種間の分岐を明らかにした。 BoLAクラスII分子の多型性と白血病発症の相関関係の解明 開発した方法を用いて、牛白血病ウイルス(BLV)感染牛(未発症健康、持続性リンパ球増多症(PL)、地方病性牛白血病)のBoLA-DRB3の塩基配列を決定した。発症牛にはDRB3^*1601および^*1001が、未発症健康牛にはDRB3^*0701および^*1401が有意に多かった。予測されるアミノ酸配列を比較したところ、DRβ鎖の中でも特に多型が集中しているβ1ドメインの特定のアミノ酸配列の違い力溌症牛と未発症健康牛の間に見いだされた。即ち、リジン/アルギニン^<72>,グルタミン酸^<74>アルギニン^<77>,,バリン^<78>あるアミノ酸をコードする対立遺伝子を有する固体力がBLVによる白血病発症に対して抵抗性である可能性が示された。 ヒツジを用いたBLV感染実験 ウシで開発したBoLA DNAタイピング法を応用することによって、ヒツジMHCクラスIIのハプロタイプを決定し、ヒツジをBLVによる白血病発症に対して抵抗性および感受性の2群に分類した。さらに、BLVを実験感染させ、免疫応答能、病態の変化、白血病発症の有無と抗原提示能を比較することによって、疾患感受性の個体差の機序を探った。
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