研究課題/領域番号 |
11460141
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
小沼 操 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (70109510)
|
研究分担者 |
大橋 和彦 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助手 (90250498)
杉本 千尋 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (90231373)
|
キーワード | タイレリア原虫 / 変異 / 表面抗原抗原 / 免疫回避 / 多様性 |
研究概要 |
ウシ小型ピロプラズマ症はTheileria sergenti原虫の赤血球内寄生による貧血および発熱を主徴とする疾病である。本原虫は宿主体内で巧みに免疫を回避している事ならびにダニ体内で有性生殖により組み換え等をおこし遺伝的多様性を獲得している可能性などにより制圧が困難となっている。本原虫のプロプラズマ表面には分子量32kDaのピロプラズム主要表面蛋白質(MPSP)が発現しており、宿主免疫の標的となっている。MPSPは遺伝的・抗原的多型性がありそれが本原虫の持続感染に関連しているのではないかと考えられている。 本研究では原虫が、ウシ体内で増殖する間にどのようにMPSP遺伝子が変異をするのか、変性勾配ゲル電気泳動法(DGGE法)で解析した。DGGE法はDNA中の1塩基置換をも感度よく検出できる。 まずC型原虫を6頭のウシに感染させ、各ウシより得られた原虫のDNAのMPSP遺伝子について解析した。その結果、同一材料を用いていたがウシの個体ごとにC型原虫のMPSP遺伝子は異なっていた。これはウシ体内で変異したと考えるよりも、接種材料のC型原虫の中にはすでに塩基配列を異にするいくつかの原虫が混在している事を示唆していた。また生物学的にクローン化したC型原虫を用いた実験からウシでの持続感染中に異変株が出現することも明らかとなった。 しかし宿主の免疫による選択性が特定の異変株の増殖に有利に働くことはないと考えられた。
|