研究概要 |
バベシア原虫感染症における赤血球酸化傷害機序を解明するために本年度は主として、赤血球の酸化傷害が原虫の直接作用によるものか否かの検討を行った。 (方法) Babesia gibsoniを既報(Parasitol Res.79;269,1993)に従い、7日間培養した。培養後、 原虫寄生赤血球のスーパーオキサイド産生量を前年度と同様の方法で測定した。 (成績) 培養7日目(原虫寄生率12.0±3.6%)の感染赤血球のスーパーオキサイド生成量は269.9±66.0(nm/10^9RBC/hr)であり、対照赤血球(非感染赤血球)のそれ(187.4±42.5)に比較して有意(P<0.005)に上昇した。 また、感染赤血球の過酸化脂質量は279.9±53.2(nm/gHb)であり、対照赤血球(180.9±40.6)よりも有意(P<0.005)に高値を示した。 以上のように、原虫増殖に伴い、スーパーオキサイドの生成量が増加したことから、B.gibsoni原虫がスーパーオキサイドを産生する可能性が強く示唆された。さらに、スーパーオキサイドの増加に一致して赤血球膜脂質の過酸化が亢進したことから、原虫による直接的な赤血球傷害が示唆された。
|