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2001 年度 実績報告書

アミロイドβタンパクの生理活性および神経毒性に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 11460145
研究機関宮崎大学

研究代表者

立山 晋  宮崎大学, 農学部, 教授 (90041003)

研究分担者 内田 和幸  宮崎大学, 農学部, 助手 (10223554)
キーワードイヌ / 老人斑 / アミロイドβタンパク / 神経細胞死 / 神経細胞内封入体
研究概要

平成13年度は、イヌの老人斑senile plaqueに関する3次元立体構造の解析が行われた。イヌの老人斑はβタンパクが瀰漫性に神経網に凝集した瀰漫斑diffuse plaqueと、アミロイドや変性神経突起、グリア細胞等様々な構成成分が加わった成熟斑mature plaqueに大別され、成熟斑はその形態から原始斑primitive plaque、定型斑classical plaque等にさらに細別される。これらのイヌの老人斑を抗βタンパク抗体により染色し、共焦点レーザー顕微鏡で観察した画像をコンピュータで解析し立体構造を確認すると同時に、老人斑の構成成分であるアミロイドβ前駆タンパク(APP)、ユビキチン、ニューロフィラメント(NF)、グリア繊維性酸性タンパク(GFAP)に対する抗体を利用して、それぞれの老人斑におけるAPP、変性神経突起、星状膠細胞の局在を確認した。その結果、βタンパク沈着は瀰漫斑と異なり成熟斑では膜状の不規則な沈着を示すことが明らかになった。また瀰漫斑においてはβタンパク凝集周囲ににAPPとユビキチンが願粒状に局在し、成熟斑ではβタンパク凝集部周囲および内部にもこれらが顆粒状に存在していた。GFAP陽性の星状膠細胞は瀰漫斑と成熟斑双方の周囲及び内部で確認されたが、特に成熟斑で頻繁に確認された。さらに瀰漫斑内にはNF陽性の神経突起が頻繁に観察されたが、成熟斑内には認められず、周囲に変性・腫大した神経突起が確認された。以上の結果より瀰漫斑と成熟斑ではその立体構造や構成成分が明らかにことなり、異なる機序で形成されている可能性が示唆された。これらの結果は何れの老人斑がより神経細胞やその突起に障害をもたらしうるものかを考える上で興味深い情報と思われる。本研究の成果は、海外の学術雑誌に原著諭文として既に公表した(Acta Neuropathologica,102:321-328,2001)。
また、平成13年度は、チロシンヒドロキシラーゼ(TH)に対する抗体を用いて黒質のドパミン生成神経細胞を描出し、同部の加齢性変化を検討した。その結果、大脳では神経細胞の減少・神経膠細胞の増加が比較的年齢依存性にみとめられるのに対し、黒質ドパミン生成神経細胞数は加齢による影響は殆ど受けずに良好に維持されて、ssDNA陽性アポトーシス細胞も加齢依存性に増加する傾向は見られなかった。また黒質では好塩基性あるいは好酸性結晶状封入体が老齢犬を中心に頻繁に観察された。しかしながら、これらの封入体はパーキンソン病のレビー小体と異なる機序で形成され、神経細胞死を誘発するほどの病理学的意義に乏しい変化であろうと予想された。しかしながら、高齢犬の黒質神経網には、抗ユビキチン抗体で描出される変性神経突起が加齢依存性に有意に増加することが同時に明らかにされ神経細胞内の封入体形成がこの変化に関与する可能性も考えられた。以上の研究成果については、本年度末に学術論文として取りまとめ、海外の学術雑誌に公開する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] Miyawaki K, Nakayama H, Nakamura S, Uchida K, Doi K.: "Three-dimentional structures of canine senile plaques"Acta Neuropathologica(Berl.). 102. 321-328 (2001)

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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