卵は受精後の胚発生過程に必要な大量のRNAを保蔵している。核内のRNAの移動や複合体形成の過程で核酸結合蛋白質が機能していると思われるが、それらの分子的解析は十分な成果を挙げているとは言い難い。当研究室では、イトマキヒトデ卵母細胞中にDNAとRNAに結合する性質を有する346アミノ酸残基からなる核蛋白質を見いだし、これをNucleic acid-associated protein(NAAP)と命名した。NAAPの配列中には二つの酸性アミノ酸クラスターの間に双極性の核局在化シグナルが含まれ、C末端領域には塩基性アミノ酸残基に富む核酸結合性配列が存在する。NAAPは主として核小体に局在するが、核小体局在化にはC末端94アミノ酸領域が必要であることが明らかになった。C末端領域253位から306位までの54アミノ酸残基の領域は染色体会合性を示した。したがってNAAPは染色体会合蛋白質としての機能を有する。 ミオシンII調節軽鎖を二重リン酸化するkinaseとしてMLCK以外にはじめてZIP kinaseをHeLa細胞から単離し、同定した。また、ミオシンを二重リン酸化するkinaseをHeLa細胞から単離し、Rho kinaseと同定した。さらに、ミオシンII調節軽鎖をリン酸化出来ない変異を導入すると細胞質に分散するが、疑似リン酸化型は分裂期の収縮環に局在することを明らかにした。
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