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2000 年度 実績報告書

ATP感受性K^+チャネルの構造と生理機能

研究課題

研究課題/領域番号 11470009
研究機関秋田大学

研究代表者

稲垣 暢也  秋田大学, 医学部, 教授 (30241954)

研究分担者 古川 哲史  秋田大学, 医学部, 助教授 (80251552)
山田 勝也  秋田大学, 医学部, 助手 (40241666)
キーワードK_<ATP>チャネル / ノックアウトマウス / 黒質網様部 / 虚血 / 静止膜電位 / 神経細胞
研究概要

ATP感受性K^+チャネル(K_<ATP>チャネル)は、細胞内のATPによって開閉が調節されるK^+チャネルである。このチャネルは膵β細胞においてはグルコース刺激によるインスリン分泌の鍵となる分子であるが、心筋や神経細胞における役割は不明である。従来より、脳においてK_<ATP>チャネルは広く分布し、特に黒質において多量に発現していることが知られていたが、その分子基盤や機能的役割に関しては未だに不明である。黒質網様部の急性単離細胞のパッチクランプ実験あるいはスライスを用いた細胞外記録電極により、野生型マウスではスルホニル尿素剤であるトルブタミドにより閉鎖し、ジアゾキサイドにより開口する膵β細胞型のK_<ATP>チャネルの発現が認められ、細胞を低酸素条件下においたところ、K_<ATP>チャネルが活性化することによって細胞膜が過分極し、神経細胞の発火頻度の低下が認められた。一方、K_<ATP>チャネルのKir6.2サブユニットのノックアウト(KO)マウスの黒質網様部神経細胞においてはK_<ATP>チャネル活性が認められず、低酸素条件下では細胞膜はむしろ脱分極し、神経細胞の発火亢進を認めた。さらに、KOマウスは低酸素条件下で著しく全身痙攣が起こりやすいことが明らかになった。以上の結果から、黒質網様部神経細胞には膵β細胞型K_<ATP>チャネルが発現し、低酸素や虚血などの代謝ストレス時に神経細胞の膜電位を過分極させることにより細胞保護作用を有するだけでなく、痙攣発症を抑制することにより生体防御機構として機能している可能性が示唆された(Science投稿中)。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Suzuki,M.,Fujikura,K.,Kotake,K.,Inagaki,N.,Seino,S.,and Takata,K.: "Immuno-localization of sulfonylurea receptor 1 in rat pancreas."Diabetologia. 42. 1204-1211 (1999)

  • [文献書誌] Sunaga,Y.,Inagaki,N.,Gonoi,T.,Yamada,Y.,Ishida,H.,Seino,Y. et.al.: "Troglitazone but not pioglitazone affects ATP-sensitive K^+ channel activity."Eur.J.Pharmacol.. 381. 71-76 (1999)

  • [文献書誌] 稲垣暢也: "ATP感受性K^+チャネル."医学のあゆみ. 188. 309-313 (1999)

  • [文献書誌] 稲垣暢也: "受容体型ABCタンパク質SUR."最新医学. 54. 30-37 (1999)

  • [文献書誌] 稲垣暢也: "膵β細胞イオンチャネルの分子生物学."Diabetes Frontier. 11. 105-111 (2000)

  • [文献書誌] Miki,T.,Inagaki,N.,Nagashima,K.,Gonoi,T.,and Seino,S.: "Potassiun ion channels. Structure and function of ATP-sensitive potassium channels."Academic Press. 492 (1999)

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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