【概要】 我々は既に細胞内Mg^<2+>によるチャネルのブロックがリン酸化によって失われることにより、チャネル活動の増大が生じることを示した。本研究はこのリン酸化制御に関与する細胞内Mgの結合あるいは作用部位の探索を目的として計画された。その結果、チャネル機能の再現において、上記細胞内Mg^<2+>制御機構は発現されたチャネルにおいては存在しなかったこと、リン酸化制御機構においても十分な反応が見られなかったこと、モルモットとカエルでは温度依存性に細胞内Mg^<2+>に対する反応性が異なることなどが新たにわかった。これらのことはMg^<2+>結合あるいは作用部位がチャネル蛋白自身以外に求めねばならないことを示唆し、今後この研究の更なる継続の必要性を示した。 【結果】 1細胞内低Mgによる電流増大現象はモルモットにおいて低温(28℃以下)では観察されなかった。この現象は非可逆的であり、そのQ_<10>は通常の熱力学反応ではないことを示した。 2.カエル心室筋のLCCα1サブユニットの遺伝子を全長にわたり同定した。この遺伝子はウサギ、ラットLCCα1サブユニットとアミノ酸レベルで80%の相同性を示した。またそのL型Caチャネルのサブユニットを構成する他の分子、α_<2/δ>、β_<2c>の遺伝子配列も同定した。それらをBHK細胞に共発現させることでチャネルの機能的活動が観察された。すなわちα_<2/δ>、β_<2c>の存在は機能発現に必須であることを示した 3.BHK細胞に再現されたカエルL型Caチャネルは細胞内を低Mg^<2+>にすること(10^<-5>M以下)で急速なチャンネル機能の消失が見られた。すなわち細胞内Mg_<2+>は成熟細胞とは異なり機能の維持に関しての役割が重要であること、またチャネル制御機能の十分な再現が成されないことから、これらの制御には未知のシステムの存在が必要であることを強く示した。
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