研究課題/領域番号 |
11470016
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
水村 和枝 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (00109349)
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研究分担者 |
笠井 聖仙 名古屋大学, 環境医学研究所, 助手 (30202005)
佐藤 純 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教授 (00235350)
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キーワード | 痛覚過敏 / 侵害受容器 / ブラジキニン / プロスタグランジンE2 / ヒスタミン / アジュバント関節炎 / B1受容体 / B2受容体 |
研究概要 |
本課題は機械刺激・冷刺激に対する痛覚過敏の機構を痛み受容器レベルで解析することを目的とする。今年度は主として機械刺激に対する感作機構について調べた。まず、正常イヌ精巣―精巣神経標本より単一ポリモーダル受容器活動を記録し、フィードバックコントロールした機械刺激装置を用いて行った機械刺激に対する反応への各種炎症メディエーターの作用を調べた。ブラジキニン、プロスタグランジン、ヒスタミンいずれも機械刺激に対する反応性を増大させたが、ブラジキニンがもっとも低い濃度(0.01μM)から効果があり、プロスタグランジンE2は1μMから、ヒスタミンは10μMから増強を示した。これらのメディエーターの細胞内情報伝達系であると推定されるアデニル酸シクラーゼ、プロテインキナーゼCを活性化するフォルスコリン、フォルボールエステルも機械反応を増強した。ラット皮膚の侵害受容器の機械反応を増強させると報告されているプロトンは明瞭な増強効果を示さなかった。また、アジュバント炎症を誘起したSD系ラットにおいて、皮膚―神経標本より単一皮膚C繊維受容器活動を記録して反応性を調べ、正常動物と比較した。炎症動物のC繊維受容器には自発放電が多く、また機械刺激に対する閾値が低下していることが明らかになった。ブラジキニンに対しては正常動物よりも100分の1以下の濃度から、より大きな反応を示した。この反応はB2受容体拮抗薬で抑えられた。また、通常反応がないB1受容体作動薬(desArg^<10>-Kallidin)に対して高濃度で弱い反応が見られた。これがB1受容体を介するものであるかどうかは不明である。
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