研究課題/領域番号 |
11470023
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
岡村 富夫 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (70152337)
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研究分担者 |
藤岡 秀行 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (50228970)
安屋敷 和秀 滋賀医科大学, 医学部, 助教授 (10167968)
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キーワード | 一酸化窒素 / 血管拡張神経 / NO作動性神経 / 脳動脈 / 神経伝達物質 / スーパーオキシド / 翼口蓋神経節 / 血管造影 |
研究概要 |
我々はこれ迄に多くのほ乳類の脳動脈に一酸化窒素(NO)作動性神経が分布し、同動脈を拡張性に調節していることを明らかにしてきた。本研究は、脳動脈を中心に、NO作動性神経の投射経路と伝達様式を明らかにする目的で行うものである。本年度の研究により以下のことが明らかになった。 1.麻酔サルに脳外科手術を行い、翼口蓋神経節を電気的に刺激すると同側の脳動脈が拡張し、その反応がNO合成酵素阻害薬で消失すること、また、同神経節の破壊により、脳動脈が収縮すること、さらに同神経節の上流に存在する大錐体神経の刺激を生じる血管拡張が神経節遮断薬で消失することなどから、サルでは血圧中枢から大錐体神経を介して翼口蓋神経節に至るコリン作動性神経が、同神経節でシナプスを形成し、NO作動性神経が節後神経として前ならびに中大脳動脈へ分布していることが明らかになった。また、同神経は絶えず緊張性に脳動脈を拡張していると考えられる。 2.摘出ブタ脳動脈標本に矩形波電流ならびにニコチンを適用すると、NO合成酵素阻害薬で消失する神経性弛緩反応が観察される。このNO作動性神経刺激によると考えられる弛緩反応は、外因性NOの反応を抑制する量のスーパーオキシド産生薬を処置しても影響を受けなかった。しかし、あらかじめ標本を内因性スーパーオキシド消去酵素阻害薬を前処置しておくと、神経性弛緩反応は、外因性NOと同様に、スーパーオキシド産生薬により著明に抑制された。したがって、NO作動性神経の伝達物質はスーパーオキシドと直接作用しうるラジカル、すなわちNOそのものであり、その機能は内因性スーパーオキシド消去酵素により、保護されていると考えられる。
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