研究課題/領域番号 |
11470032
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
脊山 洋右 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (90010082)
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研究分担者 |
久保田 俊一郎 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (00260480)
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キーワード | 脳腱黄色腫症 / CTX / コレスタノール / アポトーシス / プルキンエ細胞 / インターロイキン1β / CPP32プロテアーゼ / 小脳症状 |
研究概要 |
1.研究の背景:先天性脂質代謝異常症である脳腱黄色腫症(CTX)は高コレスタノール血症の結果、小脳失調症、黄色腫症、白内障を引き起こす.ステロール27位水酸化酵素をコードする遺伝子CYP27に起こった様々な変異により高コレスタノール血症がおこるが、臨床症状の発現機序を明らかにする目的でラットに高コレスタノール食を投与した。 2.研究結果:ラットは高コレスタノール血症となり、小脳症状を呈するものが現れたが、この際小脳のプルキンエ細胞にコレスタノールの蓄積が見られた.ラット小脳の神経細胞を取り出して培養し、そ培地にコレスタノールを添加したところ、コレスタノールの濃度依存的に生細胞数が減少した.さらに、TUNEL法で観察したところアポトーシスが起こっていることが明らかになった.また、コレスタノール存在下の培養細胞ではインターロイキン1β変換酵素(ICE)及びCPP32プロテアーゼ活性が上昇していたので、細胞に蓄積したコレスタノールが小脳の神経細胞のアポトーシスを誘発させたことが示唆された。この現象は培養した角膜及び水晶体の細胞でも見られた。 3.考察:CTX患者ではステロール27位水酸化酵素活性の欠損により高コレスタノール血症となることがわかっていたが、今回の研究により小脳のプルキンエ細胞がコレスタノール蓄積によりアポトーシスが誘導されて機能が失われ、その結果として小脳症状があらわれるという、臨床的な発症機序の仮説が実験的に裏付けられたといえよう.この機序は角膜及び水晶体細胞でも見られ、CTX患者で白内障がもたらされることを実験的に裏付けるものである。
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