IL-18(インターロイキン18)は1995年に当該機関で発見され、その後国内外で盛んに研究され、その生理学的作用が急速に明らかにされた。特に感染防御や免疫応答における役割が解明され、γ型インターフェロン、Fasリガンド、iNOS、COX-2、NK活性などの産生誘導や増強作用を示すことが明らかにされ、これらはAnnual Review of Immunologyに総説としてまとめた。一方これらの生物活性は炎症反応と深く関わっている。今回の研究によりIL-18のみをマウスに投与しても見かけ上何ら変化がないが少量のIL-12と組み合わせて投与すると腸、肝臓、胸腺、涙腺、膵臓などに重篤な障害をもたらすことIFN-γ欠損マウスではそれが起こらないこと、iNOS欠損マウスでは障害の表れ方が弱く、特に涙腺には全く変化がみられないことなどが明らかになった。障害は涙腺などの腺組織において最も早くから現れアポトーシスを起こした細胞が多数観察された。また様々なプロテイアーゼインヒビターによって障害が抑制されることも認められた。このようなことからIL-18による急激な臓器障害はIFN-γが中心的な役割をしているがIFN-γのみによって起こるのではなく一酸化窒素の産生などを介して起こることが示された。涙腺、唾液腺の障害はシェーグレン症候群において観察されることであり、これらの疾患におけるIL-18の役割の解明の必要性も示唆された。このようにIl-18はIL-12と共に強力なdestructive pathwayを形成するが、最近になってIL-18単独では、抗炎症性のサイトカインも誘導することや組織の繊維化、修復ひいては再生においてもなにか役割を担っていることが示唆され新しい段階を迎えたといえる。
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