リポ蛋白リパーゼの動脈硬化発生における役割-トランスジェニックウサギを用いた研究

1999 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11470048
• 研究種目: 基盤研究(B)
• 研究機関: 筑波大学
• 研究代表者: 范 江霖 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (60272192)
• 研究分担者: 井出 良浩 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (70258606)
• キーワード: 動脈硬化 / 高脂血症 / トランスジェニックウサギ / アポ蛋白 / 動物モデル / 脂質代謝

研究概要

平成11年度はヒトリポ蛋白リパーゼを過剰発現するトランスジェニックウサギfounderlineの作製並びにその解析を行った。現在までに全身に発現する(β-actin prmoterを使用)3羽のトランスジェニックウサギの解析をしたところ、多臓器でヒトLPLmRNAを発現しており、ヘパリン注射後のLPL血中濃度は(L01)395、(L04)157、(L17)654ng/dl(ヒト健常者130ng/dl)で、正常ウサギより3倍に近く高い活性が認められた。また、L17トランスジェニックウサギを用いて血漿リポ蛋白プロファイルおよび脂質を測定した。トランスジェニックウサギの血漿総コレステロール、中性脂肪、HDL-C値はコントロールに比べ、いずれの場合も減少しており、血漿のVLDLも著しく低下していた。L17トランスジェニックウサギの系統についてすでに確立しており、繁殖も行っている。現在動脈硬化並びに脂質代謝の研究に必要な多数のF1ウサギ作製を目指して交配を開始したところである。また、神戸大学塩見雅志先生の協力でLPLトランスジェニックウサギとLDL受容体欠損ウサギとの交配も開始した。その他に、マクロファージに特異的に発現する(マクロファージスカベンジャー受容体promoterを使用)リポ蛋白リパーゼを過剰発現するトランスジェニックウサギの作製も試み、1羽のfounderウサギが成功した。このウサギの解析も現在進行中である。

研究成果

• [文献書誌] Fan,J., Araki,M., Wu,l. ,Challah,M., Shimoyamada,H., Watanabe,T et al.: "Assembly of lipoprotein (a) in transgenic rabbits expressing human apolipoprotein (a)."Biochem Biophy Res Comm,. 255. 639-644 (1999)
• [文献書誌] Fan,J. ,Challah,M and watanabe,T: "Transgenic rabbit models for biomedical research."Pathol lnt. 49. 583-594 (1999)
• [文献書誌] Fan,J., and Watanabe,T.: "Human apo (a) transgenie rabbit, as a useful model for the study of human Lp (a)."Annual of New York Acad,Sci.in press. (2000)
• [文献書誌] Fan,J.,Iwasa,S.,and Watanabe,T: "Role of eudothelin in a the rosclerosis"Annual of New York Acad, Sci. in press. (2000)
• [文献書誌] Fan,J., Shimoyama,H. ,Challah,M., Marcovina,S., Honda,K., Watanabe,T: "Transgenic rabbits expressing human apolipoprotein (a) develop enhanced atherosclerotic lesions in response..."Circulation in press. (2000)
• [文献書誌] Fan,J., Challah,M., Shimoyamada.H., Shiomi,M. ,Watanabe,T: "Defects of the LDL receptor in WHHL transgenic rabbits lead to a marked accumulation of plasma lipoprotein (a)"J. Lipid. Res. (2000)
• [文献書誌] 范江霖、渡辺照男: "日本人の病気と病理学、臨床と病理臨時増刊号"東京、文光堂. 324 (1999)