研究概要 |
1.腫瘍内微小血管数と腫瘍細胞のアポトーシス・インデックスを比較したが、食道癌、胃癌、大腸癌の何れにおいても両者は有意な逆相関をしていた。 2.アデノウイルス・ベクターによる野生型p53遺伝子導入(50MOI)は、アポトーシス誘導群(MKN-1)、増殖停止群(MKN-45、-74、KATO-III)および無効群(TMK-1、OCUM-2M)に分類され、p53遺伝子変異とは関係なかった。アポトーシス誘導群でBAX発現が亢進した。 3.胃癌や食道癌ではFAS、FASリガンドが種々の程度に発現しており、FASはアポトーシス・インデックスとFAS-Lは癌腫の進展とともに発現が亢進していた。FAS遺伝子変異はなかった。FASを高発現しているMKN-45の検討から、FASを介するシグナル伝達はミトコンドリアを経由することが示された。 4.アポトーシス制御因子としてThymidine phosphorylase(dThdPase)とCyclooxygenase-2(COX-2)の発現について検討したところ、両者とも胃癌、大腸癌においてアポトーシスを有意に抑制し、腫瘍内微小血管を増加させることが示された。 5.食道癌培養細胞株TE-1からクローニングされた新規タンパク質ARPP(a protein that has Ankirin Repeat motif, and Proline-rich region)は胎児、ヒト心筋および骨格筋にmRNA発現し、蛋白レベルでは食道癌や胃癌培養細胞株に置いて種々の程度に見いだされた。ARPPはアポトーシス抑制性に作用する可能性がある。 6.複製ライセンス因子Minichromosome maintenance-2(MCM2)に対するモノクローナル抗体を作製し、細胞増殖活性マーカーであることを示した。
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