研究概要 |
2001年夏に悪性リンパ腫のWHO分類が改定された。しかしながら、間題点として、WHO分類が欧米の血液病理学者が主体で、経験する症例の多くはB細胞性のリンパ腫であり、T/NK細胞性リンパ腫は全体の一割弱しかなく、治療方針、予後の把握が困難であることも挙げられる。現在のところ、抹消性T細胞性リンパ腫は、臨床的には疾患単位としての分類は困難であり、臨床的態度の違いからは、抹消性T細胞性リンパ腫は、節性、節外性に分けられている。 節外性T細胞性リンパ腫で生材料の検索可能であった137例を検索したところ、皮膚原発のものが多い。また、マーカーを加味した分類と予後の面から、節外性T細胞性リンパ腫の多くは細胞障害性のマーカー(TIA1、グランザイムBなど)を持つが、3群に分けられ、A群:(sCD3+,TIA1-,TCR R)細胞障害マーカーを持たない、B群:(sCD3-,CD56+,TCR G)NK細胞由来、C群:(sCD3+,TIA1+,TCR R)細胞障害性T細胞(CTL)由来に分けられる。A群にはMycosis fungoides(MF),ATLL, B群にはNasal NK, NK leukemia,またC群にはSubcutaneous paniculitis-like T-cell lymphoma, enteropathy-type T-cell lymphoma, Anaplastic large cell lymphoma(ALCL)などが含まれる。MF, ALCLは比較的予後がよい傾向にあったが他は予後不良であった。(Virchow 2002,in press)ATLLは、基本的に白血化もしくはリンパ節を侵すが、今回、皮膚、腸、胃、肝臓、軟部組織が初発して見つかる症例もあることが分かった。また以前、報告した(Br J Haematol,1998)節性ATLLと今回の節外ATLLを比較したところ、両者に予後の差はみられなかった。 WHO分類の末梢性T細胞リンパ腫の非特異的なT細胞リンパ腫(unspecified)の中をどう臨床的に役立つたか再分類するため、組織学的分類に加えケモカインなどのマーカーを検索した。ケモカインRのCCR5(Th1),CXCR3(Th1),また活性化因子等のOX40,ST1(Th2)を染色し、AILD, ALCL, ATLLと比較したところ、ALCL(OX40-CCR5+ CXCR4-ST2+)AILD(OX40+-CCR5-+ CXCR3+ ST2-)ATLL(all-or ST2-+)と傾向が異なり、unspecifiedの中も何かしらのものが陽性(group1)とすべて陰性(group2)にわけた場合group2はgroup1より予後不良であった。(投稿中)
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