研究課題/領域番号 |
11470053
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
浜田 淳一 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助教授 (50192703)
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研究分担者 |
岡田 太 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助手 (00250423)
守内 哲也 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授 (20174394)
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キーワード | ホメオボックス遺伝子 / 転移・浸潤 / インテグリン / HOXD3 / cDNAマイクロアレイ / 肺癌細胞 / カドヘリン / 悪性黒色腫細胞 |
研究概要 |
本研究は、胚発生過程において空間的位置情報のマスター遺伝子として働くホメオボックス遺伝子が癌細胞において異常発現した場合、転移・浸潤性が変化するという仮説のもとに行った。HOXD3ホメオボックス遺伝子発現ベクターあるいはアンチセンス発現ベクターをヒト癌細胞に導入・発現させ、以下の検討を行った。 1.HOXD3過剰発現させたヒト肺癌細胞株と非発現株からmRNAを抽出し、cDNAマイクロアレイ解析を行い、両者間における遺伝子発現パターンを比較した。その結果、HOXD3の過剰発現によって発現の変動する遺伝子は、1)細胞外基質成分、2)細胞接着因子、3)細胞外基質の分解に関わる分子、4)細胞骨格関連分子、および5)増殖因子・サイトカインの5つのグループに分けられた。特に、HOXD3過剰発現株におけるデスモグレイン、デスモプラキン、プラコグロビン、E-カドヘリンなどの細胞間接着因子の発現低下ならびにインテグリンα4、β3、CD44、トロンボスポンジン、プラスミノーゲン・アクチベーター・インヒビター、MMP-2、uPAなど細胞-基質間接着因子や細胞外基質分解酵素の発現亢進が浸潤・転移の促進に関与していることが示唆された。 2.HOXD3アンチセンス発現ベクターをヒト悪性黒色腫A375M細胞に導入・発現させると、細胞浸潤能、運動能が低下した。その際、トロモミオシン2やcdc42 interacting protein 4などの細胞骨格関連分子の発現亢進が認められた。 以上より、HOXD3の異常発現は、多岐にわたる転移・浸潤関連遺伝子、とりわけ細胞接着因子や細胞骨格蛋白の発現を変化させ、ひいては転移・浸潤を促進することが示唆された。
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