研究概要 |
1.in vitroのEBV関連ウイルスによる家兎リンパ球immortalization/transformation系の確立とその性状の検討 家兎の脾臓や末梢血リンパ球にサルEBVをミリセルを用いてin vitroで感染させて形質転換した2株のcharacterizationの結果、これらはB cell系の形質を有し、EBVの潜伏感染遺伝子のEBNA1とEBNA2の両方が陽性のtype IIIのEBV潜伏感染型を示した。培養液に各ウサギの実験前の正常血清を加えて樹立した2株以外には追加の株を樹立させることはできなかった(学会発表準備中)。 2.EBV関連ウイルスDNAのシークエンス解析 重要なヒトEBVの遺伝子EBNA1と相同領域DNAを、三種類のカニクイザル由来EBV(Cyno-EBV,Si-IIA-EBV,HVMF1)を用いてPCRで増幅し、sequencingを行い、ヒトEBV-EBNA1や他種のサルのもつえEBV関連ウイルスのEBNA1 homologueとの相同性をDNAとアミノ酸配列で比較した結果、Si-IIA-EBVとCyno-EBVはヒトEBV-EBNA1とそれぞれ53%、58%のアミノ酸の相同性を示した。これらをデータベースに登録(DNA Data Bank of Japan,AB037275:AB037276;AB037277)するとともに、ヒトEBVと種々のサル関連EBVのEBNA1の相互の相同性に基づく系統樹を作製して、論文に投稿中である。 3.ヒトへのサル由来EBV関連ウイルスの感染性の検討 多数のヒトの悪性リンパ腫や反応性リンパ節症例のDNAを用いて,サル由来EBV関連ウイルスのみを検出するEBNA1領域のprimersでPCRを行った結果、人体材料におけるカニクイザル由来EBV関連ウイルスのDNAの存在は証明できなかった。
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