研究概要 |
1.in vitroのEBV関連ウイルスによる家兎リンパ球形質転換とその性状 家兎の脾臓や末梢血リンパ球にサルEBVをミリセルを用いてin vitroで感染させて形質転換した2株のcharacterizationの結果、これらはB cell系の形質を有し、EBVの潜伏感染遺伝子のEBNA1とEBNA2の両方が陽性のtype IIIのEBV潜伏感染型を示した。 2.EBV関連ウイルスDNAのシークエンス分析 重要なヒトEBVの遺伝子EBNA1と相同領域DNAを、三種類のカニクイザル由来EBV(Cyno-EBV, Si-IIA-EBV, HVMF1)を用いてPCRで増幅し、sequencingを行い、ヒトEBVとの相同性をDNAとアミノ酸配列で比較した(Intervirology2000,43:102-106)。 3.長期生存感染家兎におけるEBV関連病変の検討 現在使用しているウイルスの感染では、ウサギはほとんど長期生存できないので、別のEBV関連ウイルス(HVP)による潜伏感染ウサギモデルの作製を試みた結果、予期せずに、致死的なEBV関連血球貪食症候群の良い動物モデルになるところのHVPによるウサギの血球貪食症を伴う高率な致死的リンパ球増殖異常のモデルを確立して、Am J Pathol(158(4):1533-1542,2001)に報告した。長期生存感染家兎1匹の末血によるSCID日和見腫瘍はできなかった。しかし、SCIDマウスにHVP感染増殖リンパ球増殖病変を移植し、SCIDマウス移植腫瘍を作製できた。 4.ヒトへのサル由来EBV関連ウイルスの感染性の検討 多数のヒト症例(悪性リンパ腫等)のDNAを用いて,サル由来EBV関連ウイルス(Cyno-EBVやHVP)のDNAの存在の有無を検討したが、人体材料におけるサル由来EBV関連ウイルスのDNAの存在は証明できなかった。
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