研究課題/領域番号 |
11470059
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中川 和憲 九州大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (50217668)
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研究分担者 |
中島 豊 九州大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (50135349)
石橋 浩晃 九州大学, 歯学部, 助手 (90254630)
居石 克夫 九州大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70108710)
河野 真司 九州大学, 医療短期大学部, 助教授 (20225379)
橋本 修一 九州大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (00243931)
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キーワード | 血管内皮細胞 / 一酸化窒素 / 血栓症 / 遺伝子導入 / 遺伝子治療 |
研究概要 |
血管の細胞機能の崩壊は、血栓性疾患や種々の疾患の発症に深く関わるため、その解明は現在の最重要課題である。敗血症では、こうした内皮機能が傷害され内皮由来のNO産生の低下が推測されており、まずこれが凝固の活性化に伴う血栓形成など敗血症の病態形成にどのような関わりを持つか解明するため、ラットDICモデルを用い、NOと血栓形成との関連について検討した。NOの産生阻害は、コントロール群に比較して血栓形成の多発傾向を認め、血栓を伴う糸球体の割合は、2.5%から70.4%まで激増する(p<0.0001)。こうした血栓をもつ糸球体の出現頻度の増加は、NOドナー投与で29.3%まで軽減でき(p<0.0001)、尿細管壊死などの臓器障害も軽減することが病理組織化学的、血液生化学的データにも観察された。また、免疫組織化学的観察により、NOの産生動態は、浸潤白血球やクッパー細胞でのTNF-αやTF、PAI-1発現にも影響を与えた。これらは、DICの発症過程での内皮由来のNOの抗凝固的機能を示唆している。 このほか血管の細胞機能の制御法として、近年病的血管に対して血管壁への遺伝子治療が検討されているが、今のところ導入べクター、標的遺伝子など多くの問題を残している。そこで我々は新規かつ有効な遺伝子治療法の確立のため、ディファレンシャルディスプレイによる標的遺伝子の探索を現在進行中であり、今後絞り込みの作業に入る予定である。また、導入べクターの開発に関しては、組換え型センダイウイルスベクターその他のべクターの可能性を探索中で、現在その特徴づけのためのデータ集積を行っており、近い将来その妥当性の有無について明らかにする予定である。
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