研究分担者 |
足立 靖 関西医科大学, 医学部, 講師 (10268336)
安水 良知 関西医科大学, 医学部, 助教授 (00142753)
稲葉 宗夫 関西医科大学, 医学部, 助教授 (70115947)
土岐 純子 関西医科大学, 医学部, 講師 (40077681)
比舎 弘子 関西医科大学, 医学部, 講師 (90151422)
|
研究概要 |
申請者らは、分割照射(5.5Gyx2)と門脈より骨髄細胞(BMC)を移植することにより、難治性の自己免疫疾患が自然発症するMRL/lprマウスの治療に成功した(Blood95:1862,2000)。これは、門脈より骨髄細胞(BMC)を注入すると、donor側のストローマ細胞と多能性造血幹細胞(P-HSC)が同時に肝にtrapされ、肝で造血が促進されることに依るということが明らかになった(Stem Cells 19;144-150;226-235,2001)。そこで、申請者らは、donorのストローマ細胞の生着をさらに促進する新しいBMTの方法として新しい骨髄採取方法(perfusion method:T細胞の混入を防ぎ、ストローマ細胞の採取率を高める)をモンキーを用いて開発し(Stem Cells 18:453-456,2000)、BMCを骨髄内に直接注入する方法を開発した(Blood97:3292-3299,2001)。 臓器移植に関しては、streptozotocin誘発糖尿病ラットにおいてdonorのラットより膵島を分離し、9.0Gyの放射線を照射したrecipientにこの分離した膵島とBMCsを門脈内へ注入することにより糖尿病が100%治療できることを発見した(Transplantation In press)。 骨髄移植の新戦略として、マウスを用いて骨髄細胞を骨髄内に直接注入(Intra-bone marrow injection)する方法("IBM-BMT")を開発した。 i)この方法は低放射線照射のconditioningにより、治療抵抗性のMRL/lprマウスの自己免疫疾患の治療を可能にした(Blood 97:3292-3299,2001)。 ii)この方法は、皮膚.膵等の臓器移植にも低放射線照射で拒絶反応を抑制することが可能である(Plastic and Reconstructive Surgery In press)。 一方、多能性造血幹細胞と間葉系幹細胞との間には主要組織適合抗原複合体(MHC)のClass Iaの拘束性が存在することを見出した(Stem Cells 19:46-58,2001)。 IBM-BMTを用いて、この方法の有効性と発展性を次のような実験でさらに確認した。 i)骨粗鬆症のモデルマウスSAMP6を用いて、若齢の正常マウスの骨髄をIBM-BMTることより骨粗鬆症が予防できることを発見した。その理由として、recipientのosteroblastsが、donor由来のosteoblastsに置換されていることによることが明らかになった。 ii)ラットの系で、IBM-BMTを併用することにより、アロのラットの下肢の移植に成功した。 iii)強皮症のモデルマウス(TsKマウス)を用いて、IBM-BMTにより強皮症のみならず、肺気腫が治療できることを発見した。 以上、IBM-BMTは、造血幹細胞のみならず、間葉系幹細胞を効率良く骨髄内へ移植が可能で、再生医療の分野にも強力な武器となり得る。
|