L.majorおよびTrypanosoma cruziに対して感受性をぼすと言われているBALB/cマウスと抵抗性のコントロールマウスを用いて、末梢血好中球枯渇マウスにおける生存期間やサイトカインのmRNAの発現について検討した。方法)L.major感染24時間前に、RB6-8C5精製抗体または正常ラットコントロール抗体を腹腔に投与し、末梢血好中球を枯渇させた。上記処置マウスにL.major promastigoteをfootpadに感染させ、footpad swellingやmRNAの発現について検討した。結果)1)感受性BALB/cマウスにおけるfootpad swellingは、好中球枯渇群がコントロール群に比して有意に増強した。これに対して抵抗性のC3H/HeJマウスでは、両者に明瞭な差異は認められなかった。2)抵抗性マウスにおける好中球枯渇は、draining lymph node内macrophageのIL-12p40mRNAの発現やfootpad lesionの増悪には影響がなかった。これに対して、感受性マウスでは好中球枯渇処理群で、draining lymph node cellの感染初期IL-4mRNAの発現が認められるとともに、footpad lesionの大きさおよび感染寄生虫数がコントロール群に比べて有意に増加した。考察)感受性マウスでも、感染早期にはL.majorに対して一定の抵抗性が存在することが明らかになった。さらにその抵抗性発揮には、好中球が重要な役割を果たしていることが強く示唆された。
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