研究課題/領域番号 |
11470065
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
北 潔 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (90134444)
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研究分担者 |
網野 比佐子 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (10323601)
竹尾 暁 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (40302666)
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キーワード | 回虫(Ascaris suum) / ミトコンドリア / 複合体II / フマル酸還元酵素 / 低酸素適応 / 酵素進化 |
研究概要 |
宿主小腸内と言う低酸素分圧の環境に生息する寄生性線虫である回虫ミトコンドリアは特殊な呼吸鎖を形成し、周囲の環境に適応している。この中で成虫複合体IIは哺乳類や回虫幼虫におけるコハク酸脱水素酵素(SDH)の逆反応を触媒するフマル酸還元酵素(FRD)活性を示し、NADH-フマル酸還元系の末端酸化酵素として機能している。我々は生化学的解析から幼虫と成虫の複合体IIがそれぞれ異なった酵素複合体である事を見い出しているが、本研究では両酵素のサブユニットそれぞれについて、比較検討を行い、さらに抗線虫薬としてNADH-フマル酸還元系を標的とした薬剤を探索している。 複合体IIは4つのサブユニットから構成され、分子量70kDaの最も大きいサイズのサブユニット(Fp)は補欠分子族としてFADを含み、これと分子量約30kDaで3種の異なるタイプの鉄-イオウクラスターを含むIpサブユニットから比較的親水性の触媒部位が形成されている。この触媒部位が膜に安定に局在するためには約15kDaと13kDaから構成される2種の小さな疎水性のサブユニットが必要であり、多くの酵素でヘムbを含む事からシトクロムbサブユニット(CybLおよびCybS)と呼ばれている。本年度の研究で、IpおよびCybLは幼虫と成虫で同じサブユニットを共有している事が明らかになった。これは対応する全てのサブユニットが異なっている細菌のSDHとFRDとは大きく異なった性質であり、酵素進化の点からも興味深い。また、回虫のNADH-フマル酸還元系を極めて低濃度で特異的に阻害するナフレジンを見い出し、動物実験でもその有効性を示す事ができた。
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