研究概要 |
(1)E.Faeciumのバンコマイシン耐性プラスミドの接合伝達機構の研究目的で米国で分離された約 700株のVREの各種薬剤耐性検査を行った。現在これらの株を用いて液体培地中、及び固形培地上での高頻度接合伝達性プラスミドの分離実験をバンコマイシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、エリスロマイシン、の接合伝達性を調べることにより行っている。 (2)すでに分離され研究が進んでいるE.faeciumのゲンタマイシン耐性高頻度接合伝達性プラスミド(pMG1,60kb)の接合伝達機構の分子遺伝学的研究を行っている。現在までに供与菌と受容菌の接合の情報により発現する遺伝子がプラスミド上に存在することが解った。また、その遺伝子が接合伝達における接合体形式に重要な役割を果たしていることが解った。 (3)腸球菌の病原性としての人組織への付着機能はほとんど解っていない。臨床分離腸球菌の人由来培養細胞及び費と膀胱上皮細胞への付着実験を行い高頻度にこれらの細胞に付着する腸球菌を発見した。これらの細胞への付着には複数の人細胞表面物質(fibronectin,laminin,collagen)へそれぞれ特異的に付着する細菌表面の付着蛋白(adhesin)が必要であることが解った。。腸球菌の人細胞表面物質への付着実験はmicrotiter wellを用いる方法を新たに開発し、可能にした。 (4)日本で分離されたVREのバンコマイシン耐性遺伝子を解析した結果、高度バンコマイシン・テイコプライン耐性を示すVanA型耐性発現にバンコマイシン耐性遺伝子(オペロン)の中のグリコペプチドセンサー蛋白の遺伝子が必要であることを解明した。以上の研究実績はそれぞれ論文作成中であり、研究(2)(3)は1st InternationalASM Conference on Enterococci,Feb.27 to March 2,2000,Banff,Canada において招待講演で発表。
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