研究概要 |
1998年に我々はメチシリン耐性黄色ブドウ球菌が産生するスーパー抗原性毒素によるに新生児感染症の発症機序を明かにし、新生児TSS様発疹症(neonatal TSS-like exanthematous disease, NTED)として発表した。本研究課題では、1)NTEDのその後の解析、2)新生児のスーパー抗原応答性、3)マウスを用いたスーパー抗原応答性の解析、4)新しいスーパー抗原の検索,等に焦点をあてて研究を続けてきた。 1)NTEDの解析:急性期NTEDの初期には、Vβ2^+T細胞は正常値の約3倍まで増加し、1-2ヶ月後には正常値の20%ほどまで減少する。'急性期に増幅しているVβ2^+T細胞はTSST-1刺激に対してアナジーになっている。中和抗体の存在はNTEDの発症を著しく減弱させる。 2)新生児T細胞のスーパー抗原応答性:新生児T細胞はin vitroでのTSST-1刺激に対してアナジーになりやすい。新生児T細胞のアナジー感受性の高さは、チロシンキナーゼLckとチロシンホスファターゼCD45の機能的結合不全にあるようだ。, 3)マウスを用いたスーパー抗原応答性T細胞の解析:マウスにスーパー抗原を注射して得られた実験結果は感染症の実態と合わないので、SEAを浸透圧ポンプに充填し、マウス首背部に移植して再度解析した。SEA応答性Vβ3^+CD4^+T細胞は長期間の著しい増幅と強い免疫記憶反応を示した。 4)新しいスーパー抗原の検索:我々はStreptococcus dysgalactiae-derved mitogen(SDM)を発見した。SDMはMHCクラス血陽性の抗原提示細胞の存在下にヒトのVβ1^+T細胞とVβ23+^T細胞を活性化する。立体構造はSpeCと類似し、中央にいくつかのαヘリックス構造と左右にβシート構造をとる。
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