本研究により以下の成果が得られた。 1)Creによる遺伝子置換反応を応用してアデノウイルスベクターの作製を行うために、Creの本来の標的配列であるloxPとは独立に認識される変異型loxPの検索を行い、効率・特異性ともに高い変異型loxPとしてVを同定した。またin vitro法を用いてloxPとVの遺伝子置換効率を調べた結果、約10%と非常に高い効率であることを示した。 2)第1世代アデノウイルスベクターの作製のためのrecipientウィルスは、ウィルスパッケージングシグナル(Ψ)の両側をloxPで挟み、Creの欠失導入によりΨが切り出せるように設計した。Ψと目的遺伝子をloxPとVで挟んだ目的遺伝子用プラスミドとrecipientウイルスをCre発現293細胞へ導入し、得られた粗ウイルス溶液をCre発現293細胞で5回継代を繰り返したところ、遺伝子置換反応により目的遺伝子を発現するアデノウイルスベクターが生成した。 3)粗ウィルス溶液を293細胞を用いて限界希釈を行うことで簡便に目的ウィルスのみを単離する事が可能であった。 4)ウィルス遺伝子のほぼ全長を目的遺伝子と置換したguttedベクターを構築するため、ヘルパーウイルスとしても機能するrecipientアデノウイルスを作製した。またguttedベクター用コスミドカセットは、目的遺伝子やstufferには大きな遺伝子の挿入を行うため、クローニングサイトとして8塩基認識の平滑末端切断の酵素を選択し計4種類構築した。
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