研究課題/領域番号 |
11470077
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
加藤 篤 国立感染症研究所, ウイルス製剤部, 室長 (40152699)
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研究分担者 |
田川 優子 東京大学, 医科学研究所, 教務職員 (40178538)
永井 美之 国立感染症研究所, エイズセンター, センター長 (20022874)
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キーワード | センダイウイルス / パラミクソウイルス / リバースジェネティクス / C蛋白質 / RNA合成 / インターフェロン |
研究概要 |
パラミクソウイルスのP遺伝子かは、P蛋白質の他に異なる読み枠を使ってC蛋白質が産生される。センダイウイルスのC蛋白質は、開始コドン選択により産生されるC'、C、Y1とY2と呼ばれる一連の蛋白質の総称である。この機能を探る目的でまず最初にリバースジェネティクスを用いてノックアウト・センダイウイルスを作製した。 C'欠損株は、親株となんら差がなかったが、C欠損、C/Y1両欠損株では増殖性が低下し、マウスの肺に対する病原性も消失していた。すべてのCを欠損したウイルスは(1)ウイルス産生量が激減するだけでなく、(2)宿主が産生するインターフェロンに対する対抗能力も失なっていた。しかし、(3)感染細胞内のウイルスRNA合成、蛋白質合成は低下するどころか、感染後期ではむしろ勝っていた。 そこで、次にウイルス感染と関わりなくC蛋白質の機能を探るために、センダイウイルスの各C蛋白質を恒常的に発現する細胞株を樹立し、抗インターフェロン活性とウイルスRNA合成における影響を評価した。C、Y1、Y2発現細胞はいずれも抗インターフェロン活性を有していた。またいずれのC発現細胞も、ウイルスRBA合成を強く抑制した。これらの結果は、センダイウイルスの4つのC蛋白質にはいずれも抗インターフェロン活性と自らのRNA合成を抑制する働きがあり、前者は感染早期にウイルス感染を容易にし、後者はRNA合成を抑制することにより出芽を促進する機能を担っていると解釈された。C、Y1、Y2が同じ機能を持つとするならば、複数の蛋白質を産生する機構がなぜ保存されなければならなかったのかが、新たな疑問として浮上した。
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