研究課題/領域番号 |
11470081
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研究機関 | (財)東京都医学研究機構 |
研究代表者 |
小池 智 財団法人 東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 副参事研究員 (30195630)
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研究分担者 |
岩崎 琢也 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (90146027)
多屋 長治 財団法人 東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (90175456)
細沼 美樹 財団法人 東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 研究員 (60332384)
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キーワード | ピコルナウイルス / 組織特異的病原性 / ウイルスレセプター |
研究概要 |
ポリオウイルスがなぜ中枢神経系に病原性を示すのかを探るためポリオウイルス感染にもっとも重要と思われるポリオウイルスレセプター(PVR)の生体内分布を変えたトランスジェニックマウスを作成し、このマウスでの病原性発現の様式を調べた。エンテロウイルス71の感染性cDNAクローンを用いてこのウイルスの弱毒変異株の作成を試みた。 1.PVRを全身で発現するトランスジェニックマウスの作成と病理解析 CAGプロモーターの制御下にPVR(αform)cDNAを発現するトランスジェニックマウスを作成した。ポリオウイルスを脳内、腹腔内、静脈内などの経路で接種し、病理学的解析を行った。脳内接種では上衣細胞やグリアにウイルスは主に感染し、その結果ポリオに特異的な神経細胞の感染はむしろ抑えられ、典型的な四肢のマヒなどは起こらなかった。感染しているグリア細胞は主にオリゴデンドロサイトであることが判明した。オリゴデンドロサイトや上衣細胞にポリオウィルスが感染したことによって中枢神経系に抗ウイルス状態が誘導されたと考えられた。腹腔内、静脈内接種においてはウイルスに対する中和抗体が産生され、どの組織においても大きな病変は見つからなかった。 2.エンテロウイルス71弱毒株作成の試み 昨年度作成したSK-006 Malaysia株の感染性cDNAを元に、このcDNAの5'-noncoding regionをポリオウイルス1型弱毒Sabin株の配列と入れ換えたcDNAを作成した。このDNAからRNAを合成しF-verc細胞へトラスフェクションすることによってウイルスが回収された。このウイルスの培養細胞での増殖速度、プラークサイズなどを調べた。ウイルスの増殖速度は親株とほとんど変化がなかったので、弱毒化したかどうかは動物実験を用いて決定する必要がある。
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