研究概要 |
IFN-γ誘導性のプロテアソーム・アクチベーターPA28複合体は20Sプロテアソームのペプチダーゼ活性を増強することにより,MHCクラスI分子による抗原提示を促進することが知られている.本研究では,IFN-γによって発現制御されるプロテアソーム・アクチベーター遺伝子群を129/SvJマウスからクローニングし,その構造・発現制御機構・染色体局在を決定した.その結果,IFN-γ誘導性のPA28複合体をコードするPA28α,βサブユニット遺伝子は第14染色体上に6kb離れて存在することを見い出した.さらに,PA28α,βサブユニット遺伝子間のスペーサー領域をシークエンスすることにより,PA28αサブユニット遺伝子とoverlapしてCGI-112と命名された高度に保存された遺伝子が存在することを見い出した.興味深いことに,CGI-112とPA28α遺伝子は3'-endを向き合うようにして,ヒトでは5塩基,マウスでは6塩基,その3'非翻訳領域が重なっている.また,東京都臨床医学総合研究所・田中啓二・部長との共同研究で,プロテアソーム・アクチベーターPA28γを欠損したマウスを作製した.PA28γ欠損マウスの免疫系には特別な異常は認められなかったが,発育遅延や細胞容積の増大が認められた.以上から,PA28γは抗原提示においてよりは,細胞の増殖を制御するうえで重要な役割を担っているものと推定された.
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