ミエロイド系樹状細胞とリンパ球系樹状細胞

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11470085
• 研究機関: 京都大学
• 研究代表者: 稲葉 カヨ 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (00115792)
• 研究分担者: 高原 和彦 京都大学, 生命科学研究科, 助手 (90301233)
• キーワード: 樹状細胞 / サブセット / ランゲルハンス細胞 / ランゲリン / 接触過敏応答 / IL-12

研究概要

これまでの多くの研究により強力な抗原提示細胞として知られる樹状細胞は、特異的免疫応答の誘導において必須の細胞であることが明らかである。接触過敏応答の誘導においても、表皮ランゲルハンス細胞が塗布されたハプテンを結合し、所属リンパ節へと移動し特異的免疫応答を誘導することが知られている。しかし、これまでの研究では、蛍光標識された樹状細胞に注目してきたため、表皮ランゲルハンス細胞と真皮樹状細胞がそれぞれどのような役割を担うのかが明らかではなかった。しかも、表皮ランゲルハンス細胞はリンパ球系樹状細胞との関連が、真皮樹状細胞は単球系(ミエロイド系)樹状細胞との類縁関係が推測されている。そこで、本研究では、表皮ランゲルハンス細胞に特異的に発現されるLangerinの発現を指標に、FITC塗布後の樹状細胞について、そのサブセットの存在を確認すると供にそれらの機能を検討することを目的に研究を行った。
FITC塗布後、所属リンパ節に出現する陽性細胞の数的変化を検討した結果は、これまでの結果を確認するものであった。しかし、それらの表現型を調べたところ、CD11bの発現により大きく2つのサブセットが存在することが示された。しかも、CD11b弱陽性の集団はさらにLangerinの発現により2つの集団からなることが明らかになった。そこでこれらの由来を探るため、定常状態における表皮ならびに真皮に分布する樹状細胞の表現型を検討したところ、表皮ランゲルハンス細胞はLangerin陽性の単一の集団であったのに対して、真皮樹状細胞はLangerin陰性でしかもCD11bの発現により2つの集団に分けられることが明らかになったことから、しかも、ランゲルハンス細胞は真皮由来樹状細胞に比べ、IL-12産生能が高いことが明らかになった。

研究成果

• [文献書誌] Takahara, K.: "Identification and Expression of Mouse Langerin (CD207) in Dendritic Cells"Int. Immunol.. (in press). (2002)
• [文献書誌] Kanazawa, N.: "DCIR acts as an inhibitory receptor depending on its immunoreceptor tyrosine-based inhibitory motif"J. Invest. Dermatol.. (in press). (2002)
• [文献書誌] Park, C.-G: "Five mouse homologues of the human dendritic cell C-type Lectin, DC-SIGN"Int. Immunol.. 13(10). 1283-1290 (2001)
• [文献書誌] Hawigger, D.: "Dendritic cells induce peripheral T cell unresponsiveness under steady state conditions in vivo"J. Exp. Med.. 194(6). 769-780 (2001)
• [文献書誌] Hemmi, H.: "Skin antigens in steady state are trafficked to regional lymph nodes by transforming growth factor-β1-dependent cells"Int. Immunol.. 13(5). 695-704 (2001)
• [文献書誌] Ito, T.: "Regulation of myeloid and lymphoid dendritic cell functions by interferons and relevant cytokines"Int. Immunol.. 166(5). 2961-2969 (2001)