本研究では、生体防御応答において獲得免疫ならびに自然免疫の誘導活性化における樹状細胞(DC)サブセットの機能とそれらの機能的成熟に関する検討を行い、以下の結果を得た。 1)皮下あるいは皮内に蛍光標識したラテックス粒子を投与し、経時的に局所ならびに所属リンパ節における標識細胞の局所に誘導された貧食性細胞は単球であり、大半がそのまま皮内に残りマクロファージへと分化したが、約25%は所属リンパ器官のT細胞領域へと移動し、抗原提示機能を有するDCへと分化した。これらが炎症性応答により誘導された探究に由来し、表皮ランゲルハンス(LC)細胞由来でないことも確認された。 2)ヒト末梢血にはCD11c/CD1の発現で区別される3種のDCが存在するが、そのうちCD11c^+CD1^+未熟DCはTGF-β1の天下により速やかにLCへと分化することが示された。 3)リンパ球系DC前駆細胞であるCD11c^-CD2^-細胞が産生するIFN-α/βは、自らの分化を制御するだけでなく、ミエロイド系DCの活性化を抑制することが示された。また、IFN-α/β処理されたリンパ球系DはT細胞の活性化に際してIFN-γだけでなくIL-10産生を増強することが明らかになった。 4)骨髄由来未熟ミエロイド系DCの外来性抗原のプロセッシングと提示には、活性化刺激が必須であり、活性化により速やかにMHC-ペプチド複合体がCD80/86などの共刺激分子と供に細胞表面へと輸送されることが示された。 5)LCの定常状態におけるターンオーバーは他のDCに比べて遥かに緩やかであるが、それでも基底膜を通過して所属リンパ器官へと絶えず移動していることが明らかになった。 6)リンパ器官T領域に分布するDCは定常状態においては、末梢免疫寛容を誘導することにより生体の恒常性維持に関与することが示された。
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