研究課題/領域番号 |
11470089
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
免疫学
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
小安 重夫 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90153684)
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研究分担者 |
天谷 雅行 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (90212563)
西川 武二 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (50051579)
樗木 俊聡 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50233200)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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キーワード | 自己寛容 / T細胞 / B細胞 / 自己免疫疾患 / 天痘瘡 / ノクアウトマウス / Rag-2 |
研究概要 |
あるタンパク質(厳密にはそれをコードする遺伝子)のノックアウトマウス(KOマウス)においてはそのタンパク質に対する自己寛容は成立しない。この事実を利用し、皮膚科領域の自己免疫疾患の一つ、尋常性天痘瘡のモデルマウスを作製した。尋常性天痘瘡の抗原であるデスモグレイン3(DSG3)のKOマウスにリコンビナントDSG3を免疫し、抗DSG3抗体が生産されることを確認した後、そのマウスの脾臓細胞をrag-2KOマウス(T細胞やB細胞を持たない免疫不全マウスであるがDSG3は発現する)に移植した、その結果、自己抗体(抗DSG3抗体)の生産が持続し、生産されたIgG抗体が扁平重層上皮に沈着し、尋常性天痘瘡と同様の症状を示すマウスを作製することに成功した。さらに、強制免疫をすることなくDSG3KOマウスの脾臓細胞をrag-2KOマウスに移植するだけで同様の症状を示すマウスを作製できることが明らかになった。次に、T細胞とB細胞のいずれの自己寛容の破綻が重要な位置を占めるのかを検討した。野生型マウスやDSG3KOマウスの脾臓細胞から磁気ビーズ法とセルソーターを用いてT細胞のみを分離した。同様に、野生型マウスやDSG3KOマウスの脾臓細胞からB細胞のみを分離した。両者を様々な組み合わせで混合した後にrag-2KOマウスに移植し、抗DSG3抗体の生産の有無をリコンビナントDSG3とそれに対して作製した単クローン抗体を用いたサンドイッチELISAによって経時的に検討した。その結果、T細胞とB細胞の両方がDSG3KOマウス由来の場合にのみ自己抗体の生産が見られ、重層扁平上皮へのIgGの沈着など、尋常性天痘瘡の症状が出現した。したがって、通常はT細胞、B細胞の両方においてDSG3に対する自己寛容が成立していると考えられる。
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