研究課題/領域番号 |
11470097
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
奥田 昌之 山口大学, 医学部, 講師 (50274171)
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研究分担者 |
篠田 晃 山口大学, 医学部, 教授 (40192108)
芳原 達也 山口大学, 医学部, 教授 (10116501)
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キーワード | 有機溶剤 / 神経細胞 / カルシウムチャンネル / 脊髄後根神経節 / 海馬 / トリクロロエチレン / プロモプロパン |
研究概要 |
有機塩素系化合物(以下有機溶剤)は、中枢神経、末梢神経の抑制症状をおこすことが知られている。イオンチャンネルの開閉に対する有機溶剤の影響をパッチクランプ法を用いて測定し、神経抑制症状の本体を解明しつつある。昨年度から引き続き、トリクロロエチレンを調べ、本年度はさらに代替溶剤であるブロモプロパンの影響を調べた。 実験は新生仔ラットの中枢神経から単離した細胞を用いる。電気生理学的記録にはパッチクランプ法を用い、イオンチャンネルの活性、活動電位の発生を記録する。 (1)有機溶剤(有機塩素化合物、ブロモプロパンなど)の種類を変えて、電位依存性イオンチャンネルへの影響を調べるとともにそれぞれのイオンチャンネルの特異的阻害薬を同時投与して、抑制効果の変化を観察する。 (2)脳スライスを用いて、中枢神経における細胞間の情報伝達を行う活動(長期増強作用など)への影響を観察する。 トリクロロエチレン、トリクロロエタンの神経細胞Caチャンネルは、濃度依存的に抑制を起し、電位依存性チャンネルで明らかになった。また、一部の細胞では、トリクロロエチレン投与初期に一過性のカルシウム電流増強作用があった。この抑制作用は、DHPなどのイオンチャンネル阻害剤とは競合的にははたらなかないようである。代替有機溶剤であるブロモプロパンでも同様に手法を用いて神経細胞への影響を調べているが、トリクロロエチレンほどの抑制作用はないようである。他の有機溶剤や他の化学物質でも同様の実験が行えるような素地が整った。 ラット海馬スライス標本を用いて、短期記憶に関連すると考えるLTPへの影響を調べた。トリクロロエチレンなどによるLTPの抑制が測れるようになってきている。今後、データを確実にとれるように工夫が必要である。
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