研究課題/領域番号 |
11470097
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
奥田 昌之 山口大学, 医学部, 助教授 (50274171)
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研究分担者 |
國次 一郎 山口大学, 医学部, 助手 (80314798)
篠田 晃 山口大学, 医学部, 教授 (40192108)
芳原 達也 山口大学, 医学部, 教授 (10116501)
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キーワード | トリクロロエチレン / ブルモプロパン / カルシウムチャンネル / 細胞内カルシウムイオン / パッチクランプ / Fluo-3 |
研究概要 |
トリクロロエチレンによる神経細胞の活動電位の抑制が、神経細胞の電位依存性カルシウムチャンネルを抑制することによるカルシウム電流減少と細胞内カルシウム貯蔵部位からのカルシウム放出抑制によることを明らかにした。 パッチクランプ法では、ステップパルス刺激による電位依存性カルシウムチャンネルの活性化にトリクロロエチレンが抑制的に働き、細胞外カルシウム流入によるカルシウム電流の抑制がわかった。細胞内カルシウムの上昇は、細胞外カルシウムイオンのほかに、細胞内カルシウム貯蔵部位、たとえばERから、細胞内シグナリングを経てカルシウムの放出と再吸収を起こすことによって調整されている。今回、ERのライアノジンレセプターを修飾するカフェインを用いて実験を行った。細胞内カルシウムをカルシウムイオン蛍光指示薬Fluo-3を用いて観測した。カフェインを投与すると、細胞内カルシウムが上昇するが、これがトリクロロエチレンで抑制された。濃度の依存的であるが、細胞外カルシウムイオン流入によるカルシウム電流の抑制ほどではなかった。細胞内カルシウムイオンの測定では、10^<-3>〜10^<-4>mole/L70〜80%の抑制を示すが、それ以下の濃度では抑制がはっきりしなかった。一方、カルシウム電流の抑制は、同程度の濃度付近にIC50があった。その他、1-ブロモプロパン、2-ブロモプロパンでも同様に結果を得た。これらの有機溶剤は、細胞膜蛋白質ばかりでなく、細胞内にも浸透し作用することが示唆される。ただし、有機溶剤の違いが神経活動、神経症状の違いを説明できるかどうかはわからない。
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