研究課題/領域番号 |
11470101
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
衛生学
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
川本 俊弘 産業医科大学, 医学部, 教授 (60177748)
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研究分担者 |
松本 明子 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (10330979)
一瀬 豊日 産業医科大学, 医学部, 助手 (80341494)
小山 倫浩 産業医科大学, 医学部, 助教授 (00309965)
北川 恭子 浜松医科大学, 医学部, 助手 (20299605)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2002
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キーワード | ノックアウトマウス / アルデヒド脱水素酵素 / Cytochrome P450 / アルコール嗜好性 / アセトアルデヒド / 環境中化学物質 / 遺伝子多型 / アルコール |
研究概要 |
日本人の約半数を占めるアルデヒド脱水素酵素(ALDH)2欠損型の人のエタノールおよび環境中化学物質への感受性を検討するために、モデル動物であるAldh2ノックアウトマウスを開発し、下記の通りの結果を得た。 1.アルデヒド脱水素酵素活性についてのin vitro系での検討 Aldh2+/+マウス(C57BL/6crj野生型マウス)のミトコンドリアでは、ブロピオンアルデヒド、アセトアルデヒド、メトキシアセトアルデヒドに対して酵素活性が認められたが、Aldh2-/-マウスではこれらすべての基質に対する活性は完全に消失していた。 2.薬物代謝酵素の発現に関する検討 エタノール投与前の両マウスは組織学的に全く差を認めず、薬物代謝酵素(Aldh1,Cyp1a1/2,Cyp2e1,Cm3A4など)のmRNAおよび蛋白発現量、組織学的局在にも差を認めなかった。ただし、Aldh2蛋白はAldh2-/-マウスでは発現していなかった。 3.エタノール強制投与試験 エタノール(5g/kg体重)を強制経口投与したところ、Aldh2-/-マウスの血中アセトアルデヒド濃度はAldh2+/+マウスより10倍以上高く、AUCで20倍以上の差があった。肝Cyp2e1 mRNAの発現がAldh2遺伝子の有無により異なることも示唆された。 4.エタノール自由摂取試験 3%エタノール溶液をAldh2+/+マウスが1.00gエタノール/kg体重摂取したのに対し、Aldh2-/-マウスは、0.34gエタノール/kg体重しか摂取しなかった。しかし、血液脳、および肝臓中のアセトアルデヒド濃度は両マウス間に有意の差を認めなかった。このことは、脳内のアセトアルデヒド濃度がエタノール摂取に抑制的に働いていることを示唆するものであった。
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