研究概要 |
人間ドックを訪れた40-59歳の女性284人を対象にクッパーマンのテストを含む健康状態の質問を行い、合わせて妥当性の検証を済ませた判定量食事頻度調査を行い、大豆製品摂取と更年期症状の関連性を分析した。醗酵大豆製品摂取とほてりとの間には、年齢、閉経状態を補正してもなお負の相関が認められた(r=-0.16,P=0.01)。ほてりを訴える女性ではそうでない場合に比べ、大豆製品からのイソフラボン摂取量が19%低かった。 また、同じ人間ドックを訪れた閉経前後の女性86人を対象に、抑鬱状態の程度を測定する尺度(CES-D)などを用いて心理状態を得点化し、血清中のdehydroepiandrosterone(DHEA),estradiol(E2), sex hormone-binding globulin(SHBG)および大豆製品摂取量との関係を分析した。DHEAはCES-Dと負の相関(r=-0.22,P=0.04)関係にあり、DHEAが高いほど心理状態が良好であった。また、大豆製品摂取量との間にも負の相関(r=-0.22,P=0.04)が認められた。E2およびSHBGと心理尺度との間には相関を認めなかった。 岐阜県T市で行っているコホート研究の対象集団の中からエントリー時に35〜54歳であった閉経前の女性1,500人を無作為に選び、以後6年聞にわたる追跡の結果、大豆製品摂取量低位1/3からのほてりの出現頻度を1.0とすると、中位1/3で0.82、高位1/3で0.47であった。イソフラボン摂取量でみると、低位=1.0、中位=0.78、高位=0.42であった。 また、同じ抽出集団で子宮摘出術の頻度を比較したところ、統計学的には有意ではなかったが、大豆製品、イソフラボンともに、摂取量が多いほど子宮摘出術を受けた頻度が少ない傾向がうかがわれた。
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