交代勤務に対する適応能を生体リズムや疲労、作業パフォーマンスなどから評価するため、実験的に交代勤務スケジュールを設定し検討した。健常な男子大学生に朝方-夜型質問紙を施行して、朝方3名、中間型4名、夜型3名の計10名を選定し実験対象者とした。実験スケジュールは2日間の昼間作業(8:00〜16:00)後、3日間の夜間作業(22:00〜8:00)、さらに3日間の昼間作業の連続9日間とした。作業内容は、乱数表により作成された1桁の数値をコンピューターに入力する作業と、隣り合った数値を加算する作業とした。検査は、約2時間間隔で、体温、反応時間、フリッカー、自覚症状しらべ、唾液中コルチゾールの測定を行った。さらに、仮眠の挿入による影響を評価するため、夜勤時に2時間の仮眠を入れ、その他は同じ条件とした実験を行った。これまでの解析の結果、夜勤では、作業遂行にともない、フリッカー値の低下、自覚症状しらべによる眠気の増大、作業パフォーマンスの低下がみられるが、仮眠の挿入によって、著しく軽減されることを確認している。現在、作業パフォーマンスの結果と自律神経活動や、コルチゾールの変化など生体リズムとの関連を解析中である。今後は、夜勤時の仮眠の他、昼間睡眠の取り方なども考慮に入れた交代勤務の負担軽減策を検討していく予定である。
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