研究分担者 |
山本 博一 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (30316088)
宮井 信行 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (40295811)
宮下 和久 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (50124889)
冨田 耕太郎 和歌山大学, 経済学部, 助教授 (50197935)
有田 幹雄 和歌山県立医科大学, 看護短期大学部, 教授 (40168018)
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研究概要 |
本研究においては、各個人の末梢循環機能からみた生理的年齢、すなわち血管年齢を求め、健康指標としての有用性を検証しようとするものである。具体的には、加速度脈波を測定し、その結果から生理的年齢の評価を行なってきている。加速度脈派を大阪の某企業の従業員約400名,和歌山県中部地域在住者約300名、和歌山の某企業の従業員約200名、学校健診の受診者約200名で加速度脈派を測定してきた.得られた加速度脈派のそれぞれの指標を複合した形の加齢係数を用いて,男女別々に15歳以上75歳までの正常加齢曲線を作成した。その結果、加齢係数は,男女とも15歳から20歳にかけて一旦上昇傾向示すが,20〜25歳頃をピークに次第に低下して,女では60歳頃に低下速度が緩やかになり,70歳頃には男女とも測定値が同じになることが明らかになった. 高血圧を有するものでは,加速度脈派の得点とd/aの指標が安静時の拡張期血圧と関連性が強く,拡張期血圧が高いものほど加速度脈派の得点とd/aが低いことが明らかになった.生活習慣の関係を見ると,喫煙をする群では加速度脈派の得点が低く,c/aが喫煙しない群,あるいほ運動習慣のある群で高かった.某企業内にコーホート集団を形成してきた結果から、正常高血圧者260名を追跡した場合,加速度脈派の得点、-b/a、d/aの指標が低い群ほど高血圧発症の罹患率が高く,さらに、この指標は、安静時血圧などの情報と独立していた.また、企業が実施している健康教室の参加者約60名に、食生活や運動習慣などの生活指導を行い,教室終了後に加速度脈派を測定したところ、介入効果のひとつとして肥満傾向の改善に伴って加速度脈派が改善する傾向がみられた. これらの結果から,末梢循環機能から見た血管年齢は、健康指標のひとつとして有用であると考えられた.
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