研究課題
基盤研究(B)
リスクアセスメントは、その結果により対策措置を決定することが最大の目的である。その重要な過程である曝露評価プロセスは、各作業場ごとに、ハザードの強さ、曝露の濃度、期間と頻度の程度などからリスクの程度を定め、対応措置を決定することにつながる定量的なステップとされている。そこで本研究の目的は以下の2点である。1.曝露リスクアセスメントの重要な手順として、個人曝露量の連続モニタリングによる、リスクアセスメントの汎用手法を確立すること。2.現場測定データや保護具の効果判定、体内取り込み量の推定などをもとに、採るべき対策の優先順位を決定し、効果的な対策方法を導き出すリスクアセスメント方法を構築すること。本研究では平成11年度までに個人曝露連続モニタリング技術を開発し、平成12〜13年度にはこの技術を複数の現場で応用して有機物質、騒音、および粉じんの個人曝露濃度の測定を行った。有機物質については、機器洗浄作業、化学合成棟のメンテナンスなどで実測データを蓄積した。これにより作業内容と共に変化する個人曝露濃度の時間変動を相対的なものとして把握することが可能なことを確認し、一部を学術誌へ投稿した。騒音については化学繊維紡糸工程での実測と聴力リスクアセスメントを実施し、基礎データを蓄積した。粉じんについては、プッシュプル型換気装置を設置した作業場で個人曝露濃度の連続測定を行うことにより、外乱気流などによる曝露濃度への影響を確認した。この成果は対策へと繋がり、学術誌へ投稿した。さらに蒸気・ガス状の有機溶剤の曝露濃度を推定する数理モデルの研究についても本研究の成果の一部として纏め、これも学術誌に投稿した。本研究の成果は今後のリスクアセスメント研究の基礎的データを示すものになったと考えられる。
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